第七百七十四話 苺風呂その六
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「いいしね」
「日本酒も好きになったのね」
「アルコール度低いけれどね」
ロシア人から見ればというのだ。
「それでもね」
「好きなのね」
「そうなったのよ」
「お風呂上りも」
「あっさりと魚介類やお漬物けものを食べながら」
そうしたものをつまみにしてというのだ。
「楽しむのがね」
「好きなのね」
「そうなったわ」
まさにというのだ。
「私はね」
「いいわね、ただ私はね」
アロアは風呂上がりの日本酒の話に入ってこんなことを言った。
「おつまみはお味噌とかお塩とか」
「私よりあっさりとしてるわね」
「上杉謙信さんtがそうして飲んでいたそうだから」
だからだというのだ。
「そういうのおつまみにして飲んでみたら」
「よかったの」
「特にお味噌がいいわね」
これがというのだ。
「お酒が進むわ」
「お味噌ね、あれも塩分強いからね」
アンネットはそれでと応えた。
「確かにね」
「お酒に合うわね」
「日本酒にね」
「そうでしょ」
「私もそう思うわ」
「そういえば徒然草で」
彰子はこの古典を話に出した、日本の鎌倉時代に吉田兼好が書いた書であり当時のことが実によくわかる。
「お味噌の残りと蕎麦がきでね」
「お酒飲んでいたの」
「鎌倉幕府の執権さんが宴開いて」
その場面もこの書では書かれているのだ。
「その時のおつまみがね」
「お味噌と蕎麦がきだったの」
「夜酒宴を開くことになって」
その時にというのだ。
「おつまみ探したら」
「お味噌があって」
「残りがね。それで」
それと共にというのだ。
「蕎麦がきもあって」
「そういうので飲んだのね」
「そうした場面あったわ」
こうアンネットに話した。
「質素な感じするわね」
「武士らしい?」
アンネットはこう返した。
「質素って」
「武士って贅沢しないから」
「だからね」
「そう言われると」
彰子も否定せずに言った。
「そうね」
「武士らしいわね」
「質素ね」
「当時は贅沢だったかも知れないけれど」
どちらもそう言っていいものであった、味噌も蕎麦も日本に普及するのはかなり後になってからのことである。
「今から見れば」
「何でもないわね」
「そうよね」
「その通りね、実際残りものだったし」
それを探して飲んでたからだというのだ。
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