第百四十七話 文化祭開催その九
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「とてもね」
「自分が幸せとか感じられないのね」
「そうらしいからね」
「二人共鬱になっていて」
「そうだったから」
「自殺したし」
「幸せだったか」
自分達がそう感じていたかというのだ。
「それはね」
「違っていたわね」
「そうだったと思うわ」
「そうなのね、何かお国だとね」
ケニアの娘は祖国の自然を思い出して話した。
「青空の下にいて動き回る」
「ケニアだと」
「そうすることが多いから」
「鬱になりにくいのね」
「何かお日様の光がいいのよね」
「そうみたいね」
「お日様の光を浴びて」
そうしてというのだ。
「身体動かしたら」
「鬱にいいみたいね」
「いきなりは無理でも」
鬱も重くなると動けなくなる、その苦しみはなった人でないとわからないというのだから恐ろしい。
「それでもね」
「少しずつでもね」
「お日様の光を浴びて」
こう富美子に話した。
「そうするだけでね」
「違うから」
「鬱になったら」
「出来たらお日様の光を浴びる」
「それがいいわね」
「そういえば」
ここで富美子は気付いてだ、ケニアの娘に話した。
「芥川も太宰もね」
「お日様の光を浴びてるか」
「そう言われたら」
「そんなイメージないわね」
「太宰は昼型だったそうだけれど」
その生活はだ。
「あまりね」
「お日様のイメージないわね」
「何かずっとお部屋にいて」
実は外に出ている写真も結構ある。
「それで夜はね」
「お酒飲むのね」
「お酒好きだったらしいから」
「やっぱりお日様の光はね」
「浴びてるとはね」
その様にはとだ、富美子は話した。
「思えないわね」
「そうよね」
「だから鬱だったのかしらね」
「それで自殺したのね」
「二人共ね」
まさにというのだ。
「そうかも知れないわね」
「そうなのね」
「お日様の光を浴びて」
「身体を動かせば」
「かなり違ったと思うわ」
「二人共自殺せずに済んだのね」
「実は三島由紀夫が太宰嫌っていたけれど」
自分に似ている部分があることをわかってそれで嫌っていたという、若き日の三島が太宰本人に対して言ったことも伝わっている。
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