第百四十七話 文化祭開催その八
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「今も政治家さん出している」
「代々の」
「物凄いお金持ちだったのよ」
太宰の家はというのだ。
「そうだったのよ」
「かなり恵まれてる?」
「太宰もね」
「芥川も恵まれてたんじゃ」
「当時の日本で大学まで行けたし」
「それ今のアフリカでもなのよね」
ケニアの娘はやや項垂れて話した。
「中々教育を受けることがね」
「難しいのよね」
「多くの国でね」
「そうよね」
「お金のこととかあるし」
教育費も馬鹿にはならないのだ。
「それで大学まで出るって」
「アフリカじゃ中々よね」
「それでその頃の日本も」
「本当にね」
それこそというのだ。
「大学まで行けるって」
「お金に余裕があったのね」
「それで作家さんになったら忽ち話題になって」
最初の作品の鼻が発表された時からのことだ。
「それで売れっ子だったから」
「お金持ちだったのね、芥川」
「朝ご飯にバナナ食べる様な」
当時驚くまでに高価だったその果物をだ。
「ブルジョワとか言われたし」
「プロレタリアね」
「そうでもあったから」
だからだというのだ。
「芥川もね」
「お金あったのね」
「二人共傍から見ればね」
「恵まれてるわね」
「イケメンで頭良くてお金あって」
「お師匠さんもお友達もいて」
「太宰は終生尊敬する人もいたし」
芥川というその人物がというのだ。
「だからね」
「尚更幸せよね」
「尊敬出来る人がいたら」
富美子は考える顔で話した。
「それだけで幸せだっていうし」
「太宰はそこからさらになのね」
「幸せだったかもね、けれどね」
傍目ではそう思えるがというのだ。
「幸せな人が自殺するか」
「しないわね」
ケニアの娘もそれはと答えた。
「自分が幸せって思う人は」
「そうよね」
「じゃあ二人共」
「太宰は芥川の影響もあったけれど鬱だったっていうし」
躁鬱の鬱の方だったというのだ、その頃の太宰は結核がかなり進行し不眠症にも悩まされていたという。
「それでね」
「自殺してるから」
「何でも鬱になるとね」
この精神状態になると、というのだ。
「幸せなんてね」
「感じられないのね」
「いつも暗く沈んでいて」
そうなっていてというのだ。
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