コネクト〜ニナ、シェリド公太子〜
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大国に劣らぬ国作りをするためなら、学べることはすべて学びたい。だから”今の”カルバードを隅々まで見て回ろうと思ってね。という具合に意気揚々とまずは夜遊びへ繰り出したものの――――――気づけば同じことばかり考えてしまっていた。『彼ならここで何と言うだろう?『どう振る舞うだろう?』とね」
「彼…………ああ――――――”漂白の演奏家”―――――オリヴァルト殿下ですか?サルバッドで、クラウゼルとエルフィードからそんな繋がりをチラッと聞きましたよ。話す機会は数回程度しかありませんでしたが、噂通りだいぶ突き抜けたお人ですよ。3年前の”大戦”が終結した後も積極的に動いていて、色々と話は聞いています。」
「そう――――――彼は若い頃から諸国を渡り歩き、”国際協調”を唱えていた。かつてエルザイムを訪れた時に知った、彼の信念と生き様に…………いつしか尊厳と敬意を抱くようになった。私もかく在りたい――――――そう願い己を磨いているつもりだが…………事あるごとに、彼には届かないのだと器の違いを自覚するばかりでね。まるで砂漠の蜃気楼を目指しているかのような心地さ。」
ヴァンの話に頷いたシェリド公太子は立ち上がってある人物の事を語った後複雑そうな表情で自分の両手を見つめた。
「…………ちょっと意外ですね。殿下がそんな殊勝なことを考えていたとは。ま、失礼を承知で一つ言えるとしたら――――――すべては自分自身が何をしたいか、でしょう。」
「自分自身…………?」
「殿下はオリヴァルト殿下の模造品になりたいわけじゃあないんでしょう?進むべき道を選ぶのは、あくまで自分――――――その上で砂漠を進むなら結構。途中、オアシスに寄り道したっていい。わざわざ胡散臭い裏解決屋なんて稼業を選ぶ奴もいるくらいだ。目的地への辿り着き方なんざ、人それぞれですよ。」
「……………………」
「…………ま、俺みたいな外れ者がおこがましいかもしれませんがね。」
「ハハ…………いや、胸に落ちた気分さ。まさか君に諭されるとはね。君は私が思っている以上に人生経験が豊富なのかもしれないな。」
ヴァンの助言にシェリド公太子は静かな笑みを浮かべてヴァンを見つめて呟いた。
「ハッ…………あくまでしがない便利屋風情ですよ。」
その後公衆浴場で汗を流し終えた二人が公衆浴場を出るとある人物が声をかけてきた。
〜旧市街〜
「――――――お疲れ様です。お迎えにあがりました、殿下。」
2人に声をかけた人物――――――ナージェの後ろにはリムジンが停車していた。
「おっと、ついに見つかったか。いや、あえて見逃してくれたのかな?」
「あの護衛艦殿が殿下に逃げられたってのは最初から違和感がありましたけどね。」
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