コネクト〜ニナ、シェリド公太子〜
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そんな大層なものじゃありませんよ。私、小さい頃から””自分というものがない”のがコンプレックスでした。だからかもしれません、”何かを演じる”ことに夢中になって、やりがいを感じるのは。女優になったのもそんななにもない自分を誤魔化すためで――――――ファンの皆さんが想像するような前向きな理由ではないんです。」
感心した様子で呟いたヴァンにニナは苦笑しながら理由を語った。
「何もない自分を変えたい、か。そいつは十分、前向きな理由だと思うけどな。」
「そういうものですか…………?」
しかしヴァンの指摘にニナは不思議そうな表情で首を傾げた。
「そういうものだ。まあともあれ、お前さんのその趣味兼実益――――――名前が売れるようになってからはますます難易度が上がってるんじゃねえのか?」
「はい、実はそうなんです。ますます難しくなってしまって――――――すごく、挑戦のし甲斐があるといいますかっ。」
ヴァンの問いかけに頷いたニナは目を輝かせて答えた。
「ったく…………ちゃんと”持ってる”じゃねえか。」
目を輝かせているニナを目にしたヴァンは目を丸くした後苦笑しながら指摘した。
「え?」
「”自分がない”なんてとんでもねえって話さ。ハードルが上がって、むしろ”演じること”への欲望が沸き上がる…………そんな奴が何人いるかっての。」
「…………ふふっ…………アークライドさんって、結構屁理屈が得意なんですね?」
ヴァンの指摘に目を丸くして黙っていたニナは我に返るとおかしそうに笑いながら答えた。
「屁理屈でもなんでもいいのさ。自分自身の納得がいけばそれでな。」
「ふふ、そうかもしれません。おかげでちょっとだけスッキリできた気分です。」
「それなら俺も声をかけた甲斐があったってもんだ。」
「あっ、でも私の変装のことは誰にも言わないでくださいね。二人だけの秘密ですから♪」
「っ…………ああ、わかったぜ。(この破壊力…………やっぱすげえな、女優ってのは。)」
口に指を当ててウインクをしたニナに一瞬魅入られたヴァンは息を呑んだ後内心でニナの魅力的な部分に感心しながらニナの秘密を守る事に了承した。
その後、変装し直したニナが去ってから改めて巡回を再開すると巡回の最中ある人物からメールが送られ、そのメールに返事をしたヴァンはメールで指示された待ち合わせ場所に向かった。
〜イーディス某所〜
「ヴァン君、ヴァン君。こっちだ。」
ヴァンが周囲を見回すと自分を呼ぶ声が聞こえ、声が聞こえた方向にヴァンが視線を向けると何と茂みからシェリド公太子が現れた。
「いや〜、よく来てくれた。数刻ぶりだね。応じ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ