暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第226話:もう一つの銀腕
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セレナが見当たらなくなったんだけど皆は何か知らないか?」
「セレナがッ!?」
「い、いえ……私達は、見てないです」

 セレナの行方が分からないと聞いて焦る切歌と調。だが了子は彼女の行方に心当たりがあるらしい。あまり慌てた様子もなく、彼女はセレナの凡その現在の居場所を口にした。

「多分だけど、アルドの居る所じゃないかしら?」
「母さんの所? 何で?」

 正直、颯人にはアリスとセレナの接点が今一良く分からなかった。フロンティア事変の時は呪いに侵され、その治療を受けてはいたようだがそれも今となっては過去の話。昔の絶唱の後遺症などを除けば普通に生活できる彼女が、今更アリスと接触する意味が理解できない。

 …………否、ちょっと待て。何故了子がそれを知っている? アリスと了子がセレナの事に詳しいと言う状況に、颯人は何か引っかかりを覚え彼女の事を凝視した。だが肝心の了子は、颯人からの視線を何処吹く風と受け流して明後日の方を見ている。明らかに何かを隠した様子に、颯人は何となくだが察した。

「……よく母さんが首縦に振ったな?」
「彼女の熱意に負けたんでしょ?」
「さいで……後でガルドとマリアにはちゃんと説明しておけよ?」

 颯人はそれだけを告げると、今度こそ医務室の方へと向けて駆けて行った。離れていく彼の後ろ姿に、今し方の会話の意味が分からない切歌と調の2人が首を傾げて了子の事を見た。

「あの、今のって……?」
「どういう意味デス?」

 2人の少女からの問い掛けに、しかし了子は小さく肩を竦ませるだけで答えるのだった。




***




 了子達の元を去り、段々と医務室がある区画へと近付いていく。戦闘の音は段々と大きくなり、時折聞き慣れた雄叫びのような声までが聞こえてくるようになった。

『おぉぉぉぉぉっ!』

 やはりと言うか、この声は響だ。これまで彼女の姿を見かけなかったが、その理由は彼女が医務室のキャロルを守る為に奮闘してくれているからに他ならなかった。確信を抱きながら颯人が医務室に向かう最後の曲がり角を曲がった瞬間、響に殴り飛ばされたメイジが彼の視界を埋めた。

「どわっと!?」

 咄嗟に角の裏に引っ込むと、コンマ数秒の差で彼が顔を出していたところをメイジが飛んでいく。その光景に彼は危ない危ないと冷や汗を流しつつ、改めて角を曲がり医務室へと向かっていった。
 医務室の前は決して広い空間ではないが、そこには甲板で見た時以来の人数の多さを誇るメイジが響と医務室に続く扉を取り囲んでいた。かなり纏まった人数に取り囲まれている響だったが、彼女は油断も隙もなく周囲を警戒し、メイジ達もなかなか攻めるタイミングを見極められずにいるようだ。

 これは響の戦闘スタイルが徒手格闘で
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