暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第226話:もう一つの銀腕
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発を行う区画であり、職員の人数自体は少ないがある意味でS.O.N.G.の中枢とも言える場所である。
 そこでは壁際に追い詰められた了子とエルフナインの2人を、調と切歌の2人が守っている最中であった。

「なんと、イガリマァァァッ!」
「えぇぇい!」

 切歌は以前トーマスホイットマーでの戦いで見せた、短く二分割にしたアームドギアを使い二刀流の要領で迫るメイジを相手取り、調は刃の突いたヨーヨーを使って決して広くない空間での戦いを繰り広げていた。過去の戦いの経験を活かして、同じシチュエーションでの戦いに見事に対応している。彼女達は普段自分達の事をあまり高く評価していないようだが、あの様子を見る限りそれは完全に杞憂な様に颯人には思えた。

――ま、若い内は悩むのが仕事ってね――

 2人が抱える不安や迷いは思春期特有のものだろうと颯人は結論付け、歳の割に爺臭い事を考えつつ彼女達の援護の為素早く近付くと背後からメイジ達を切り裂き隙を作った。

「オラッ!」
「「「「ッ!?」」」」

 突然の背後からの攻撃に面食らうメイジ達。一方切歌達は颯人の姿が見えていたので、こうなる事を予想して既に次の行動に移れるよう構えていた。

「隙ありデス!」
「ハァッ!」

 メイジが颯人に気を取られた瞬間、それを待っていた切歌と調が鎌と丸鋸を飛ばして残りのメイジを一気に蹴散らした。見える範囲の敵が動かなくなった事で、2人に守られていた了子とエルフナインも安堵の溜め息を吐く。

「ふぅ……一先ずこの場は凌いだと見て良いのかしら?」
「いえ、まだ戦闘自体は続いてるみたいです」

 耳を澄ませば、まだどこかで戦っている音が聞こえてくる。颯人がここに来るまでの間であと見かけていないのは響だけなので、考えられるのはそこだろう。とは言え、これからジェネシスが更に増援を寄こしてこないとも限らない。
 戦力と守る対手が分散してしまうのはあまりいい状況ではない。颯人は切歌と調に、了子達を発令所まで連れていくことを提案した。あそこであれば翼も居るし、ある意味でリーサルウェポンと言える弦十郎も居る。ここで引き籠るのに比べたら百倍どころか千倍、万倍は安全だ。

「2人共、了子さん達を発令所まで連れて行ってくれ。道中の敵は俺が粗方片づけてあるからそんなに苦労することなく辿り着ける筈だ」
「はい」
「了解デース!」
「あぁそれと、食堂に取り残されてる人達も居るから出来るならそっちも回収しといてくれ。隠れて閉じこもる様には言ってあるから今のところ襲われる心配はないだろうけど、念の為な」

 しっかり食堂に残してきた職員達の事も2人に託し、颯人は医務室に向かおうとした。だがその前に一度だけ、姿を消したセレナを見なかったか訊ねた。

「あ、そうそう。
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