暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第226話:もう一つの銀腕
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 流れる汗を拭う事もせず油断なく周囲のメイジを見渡す。その時、額から流れてきた汗が一滴、彼女の目尻から滑り込む様に目の中に入った。目に汗が入ってきた事で、翼の体は反射的に片方の目を瞑ってしまう。
 メイジ達はその瞬間を待っていた。持久戦に持ち込んで彼女が隙を僅かにでも晒した瞬間、四方から一斉に彼女に向け襲い掛かる。

「あっ!?」

 目の中に汗が入ってきた事に一瞬意識を持っていかれてしまった翼は反応が遅れた。しまったと思った時には視界を埋め尽くすかと思う程にメイジ達が迫ってきており、迎え撃つのも間に合わない状況であった。

「くっ!?」

 思わず両手を上げ防御の構えを取る翼だったが、予想に反してメイジの攻撃は彼女に届く事はなかった。

〈バインド、プリーズ〉
「……え?」

 メイジ達が翼に襲い掛かる直前、彼女の危機に颯人は魔法の鎖を用いて翼とメイジの間を隔てた。鎖はメイジが触れると意志を持っている様に巻き付き拘束していく。そして動けなくなったメイジに、颯人は容赦なくシューティングストライクを叩き込んでいった。

〈キャモナ! シューティング、シェイクハンズ! フレイム! シューティングストライク! ヒーヒーヒー! ヒーヒーヒー!〉

 拘束されているメイジもそうでないメイジも、次々と炎の銃弾を受けて倒れていく。その光景を呆然と眺めていた翼に、ウィザーソードガンを油断なく構えた颯人がやって来た。

「翼ちゃん、大丈夫か!」
「あ、颯人さん!」
「悪い、甲板の方にもたくさん来ててよ。こっち来るのが遅れちまった」
「いえ、寧ろ感謝したいくらいです。先程は危ない所でした」

 翼から逆に感謝され、颯人は一つ頷く事で答えると現在の状況を端的に訊ねた。

「それで、中は今どうなってる? 俺は取り合えず途中食堂の方とかを何とかしてきたけど」
「あまりいいとは言えません。月読と暁、立花がそれぞれ各所に散らばって敵を迎え撃ってくれている所ですが、まだ戦闘が続いてるとなると……」

 敵の襲撃はまだ終わる気配を見せない。それはつまり、まだ連中は目的を達成できては居ないと言う事。それが分かっただけでも十分だと、颯人は当初の目的である医務室を目指した。

「分かった。連中の目的はキャロルだろう。俺はこのままそっちに行くから、翼ちゃんはここを任せるぞ」
「はい!」

 ここは取り合えず翼が居れば何とかなる。発令所の中には弦十郎も居るだろうから、最悪彼が出張ればなんとかなる。幹部はともかく、名無しのメイジ程度であれば彼なら片手でも十分に倒せるだろう。

 発令所を翼に任せて再び医務室に向かっていると、今度は研究区画へと入った。ここは了子やアリスがエルフナインらと共にシンフォギアや聖遺物に関する研究や調査、開
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