暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第226話:もう一つの銀腕
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範囲は決して広くはなかった。
その彼女の姿が見当たらない事に颯人が首を傾げていると、ガルド達と共に厨房で鍋を振るうコックの1人が口を開いた。
「セ、セレナさんだったら、ついさっき何処かに行っちゃいました」
「何処かって、この状況でかっ!?」
「は、はい。何か、急いでた様子でしたけど」
思わず颯人は仮面の上から後頭部を掻いた。この状況で面倒を起こしてほしくなかったのだ。戦う力を持たないセレナが、こんな状況で艦内をうろつけば危険な事くらい本人が一番分かっている筈である。
そう、分かっている筈なのだ。にも拘らず彼女は何処かへ姿を消した。その事に颯人は違和感を感じていた。
――セレナはマリアに似て懸命だ。考え無しに動くタイプじゃない。何か考えがあっての事か?――
束の間悩む颯人だったが、厨房の中で物音が聞こえた瞬間思考を中断。素早く銃口を厨房に向け引き金を引くと、それと同時に立ち上がった先程のメイジの片割れが再び銃弾を喰らってもんどりうって倒れた。
「がっ!?」
「……今ここで考えても仕方ねえか。取り合えず、アンタらは奥に引っ込んで入り口をしっかり閉めておけ。今はどこもかしこもこんな騒ぎだからな。間違ってもあちこちで歩くなよ?」
言われなくたってこんな状況で艦内をほっつき歩いたりはしたくないだろう。颯人の言葉に職員達は頷くと、食堂の奥の扉へと入り中から鍵を掛けた。颯人はそれを見届けると、厨房の中で伸びているメイジの魔力も封印してから改めて医務室へと向けて駆けていく。
再び内部に入り込んだメイジを倒しながら艦内を進んでいると、途中で発令所の前で複数のメイジを相手に果敢に戦っている翼の姿を見つけた。
「ハァァァッ!」
通常の刀形態のアームドギアを振るい、迫るメイジを相手取る翼。その顔には若干の焦りと疲れが伺えた。本部潜水艦は潜水艦としては広々としているレイアウトではあるが、それでもやはり武器を振り回して戦うにはあまり適しているとは言い難い。特に翼の場合は、刀剣と言う武器を扱う割には意外と攻撃範囲の広い技も多く、アームドギアを大剣に変形させて戦う事も出来るがそれも今は封じられているとあって戦いに著しく制限を設けられている状態であった。
とは言え、彼女は昨日今日戦い始めたばかりの素人ではない。これまでに様々な戦いを経験し、その中で大小様々な刀剣を扱ってきた。当然その中には刀以下の長さの小太刀なんかも含まれる。翼は狭い艦内でそれを駆使して、時に影縫いを使って敵の動きを止めるなどの搦め手を交えながら着実に襲い来るメイジを1人ずつ倒していった。
だがやはり大技の一つも使って敵を一掃できないのは厳しいのか、表情にはあまり余裕があるとは言い難かった。
「はぁ、はぁ、はぁ……くッ!」
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