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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十九話 捕虜交換式前夜
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帝国暦487年6月10日09:00
アイゼンヘルツ星系、アイゼンヘルツ、銀河帝国、銀河帝国軍、宇宙艦隊総旗艦ヴィルヘルミナ、
グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー

 ここアイゼンヘルツは、帝国領の中でもフェザーンと隣接する星系だ。フェザーンの隣に位置している割にはそれほど栄えてはいない。
「機関の性能が上がり、民間船のワープ機関でも充分な跳躍距離が得られる様になったからですよ。フェザーン発、フェザーン着を問わず、アイゼンヘルツ向けの船以外はこの星系をすっ飛ばして行く、という訳ですな」
「詳しいな」
「叛乱軍に居た頃、部下がこの星系への潜入任務に参加した事がありました。任務終了後にその部下がそう言っていたのを覚えております」
「ほう…どういう任務だったのだ、それは」
「亡命者の護送任務です。護送対象が誰かまでは、小官も存じてはおりませんが」
「直接の上官にすら教えないとは、極秘の任務だった様だな。卿自身は参加しなかったのか」
「ハハ…参加していたらそのまま逆亡命していたでしょうな。それでは任務に支障が生じます。逆亡命するのであれば、せめて任務は成功させなくてはなりません。それに、失敗する可能性がありました。その任務で直接護送任務に携わった部下は、小官に引けをとらないの白兵技能の持ち主でしたから」
「卿の経歴は見させて貰った。亡命後の技能試験でオフレッサーと引き分けたというではないか。卿に引けをとらないと言うのなら、かなりの強者だな」
「はい…ですが、オオフレッサー閣下は手を抜いて下さったのですよ。装甲服を着けての実戦なら、手も足も出ない結果に終わったと思います」
「謙遜も程々にするのだな、生身であってもオフレッサーと引き分ける事の出来る者などそうは居るまい」
目の前で笑うリューネブルク…急遽ミューゼルが儂の護衛官として連れて来た男だ。先年のカストロプ領鎮圧に参加して勇名を上げた。今回は装甲擲団兵一個中隊を引き連れフェザーン行に同行している。要人護衛の任務などやった事はないだろうが、とても優秀なのが解る。この様な男を使いこなせないのでは、叛乱軍の人事担当者は何をしていたのかと敵ながら心配したくなるというものだ…。

 「叛乱軍…この場合同盟と言えば宜しいのかしら…元帥閣下、お許し下さいましね…同盟はどんな国ですの?」
リューネブルクにそう問いかけたのはヴェストパーレ男爵夫人だった。男爵夫人はグリューネワルト伯爵夫人の世話役として同行している。儂は皇帝陛下に掛け合い、伯爵夫人を今回の捕虜交換式の陛下の名代として、宮中から連れ出す事に成功した。ミューゼルに憂いなく任務を果たさせる為であったが、我ながら人がいいと思わざるを得ない。捕虜交換は陛下の勅裁を得ているから、たとえ軍が主体で行うとしても陛下の名代が居ないのはおかしな話だ、
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