激闘編
第九十九話 捕虜交換式前夜
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…水か。気の利かん奴だ。
「名簿に名前が無くとも、貴様が表に出れば同じ事だろうが」
「フン…同盟の代表は国防委員長だろう。現場で俺を見たからといって、捕虜交換を反古にする様な事はせんよ。自分の失策になるからな。政治家とはそういうものだ」
「…分かった様な口を聞いてくれるじゃないか」
分かった様な口か…シェーンコップ、貴様の立場では分からんだろうな…悲しい事だが仕方のない事だ。俺も最初は解らなかった、だが帝国に亡命して嫌という程理解させられた…。
「…どうやら長居は無用の様だな。まあ交換式期間中はくれぐれも宜しく頼む。顔を見る事が出来て良かった…これは本心だ」
「貴様…」
「ああ、折角の平和的な捕虜交換の場だ。帝国に亡命するなら今の内だ。貴様達なら高く買って貰えるぞ」
「…遠慮しておこう」
「そうか、残念だな」
スカウトしたのは本心からだぞシェーンコップ。後悔しないようにな…。
18:25
ライナー・ブルームハルト
まさかあの人が此処に居るなんてな…どうなる事かと思ったぜ…。
「済まなかったな、ブルームハルト」
「いえ、小官も連隊長と同じ気持ちではありますから…」
「そうか」
そう言ったきり連隊長は黙ってしまった。リューネブルク元連隊長は少将の階級章をつけていたが…あの人が連隊長だった時、俺は大尉になったばかりだった。大尉とはいっても、まだ新人に毛が生えた程度のひよっこだった。当時のリューネブルク連隊長とシェーンコップ少佐、どちらが強いのか…なんてよくカケをしていたのを覚えている。今ではどうなんだろうか…。
「ブルームハルト」
「はい」
「玄関を見て来い。リューネブルクに笑われるのは癪だからな」
「了解しました」
18:50
ホテル・シャングリラ、晩餐会会場
ヨブ・トリューニヒト
「落ち着きたまえ、アイランズ君」
「は、はい」
我々同盟側の使節は私、国防委員アイランズ君、高等弁務官ヘンスロー、駐在武官ヴィオラ大佐…となっている。後は実務面のスタッフだが、彼等は今頃捕虜引渡しについての細部の打ち合わせを帝国側スタッフと行っている頃だろう。
「閣下、少し早かったのではありませんか」
「こういう時に後から入ると会話の主導権を握られてしまうよ。此処は交渉の場ではないが、相手に優位に立たれるのも落ち着かないだろう?」
「なるほど、流石は閣下ですな」
…ネグロポンティ君を連れて来た方が良かったかな。少なくともアイランズ君よりネグロポンティ君の方がこういうパーティーには慣れているからな…。会場内には同盟、帝国の警備兵が数名ずつ配置されている。お互い所持品検査は済ませているのだから、そこまでしなくてもと思うが…。
「これはこれは、お待たせしてしまった様ですな
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