激闘編
第九十九話 捕虜交換式前夜
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副総監はご存知かも知れません」
”…了解した。その件についてはヒルデスハイム伯に聞いてみる。儂は現在アイゼンヘルツにて待機している。まもなくフェザーンに向けて移動を開始するが、現地到着後は卿に細かい指示など出来なくなるだろう。それ故、今から命令書をそちらに送る。受信後は統帥本部と連絡を密にせよ。よいな“
「了解致しました」
通信は終わった…とりあえずは姉上が無事でよかった。ミュッケンベルガーを信じて任せたものの、此方からどうなっていますかなどと聞ける相手ではない。皇帝の名代?とんでもない理由をこじつけたものだ、発表がなかったのも余計な混乱を避ける為だろう。それにしてもヴィルヘルミナか、確かにオーディンに居て貰うより余程安全というものだが…皇帝は何を考えてミュッケンベルガーの要求を飲んだのだろうか…くそっ、俺はまた奴の手の中で踊らされているのか?
「何にせよ、アンネローゼ様がご無事なのはいい事です」
キルヒアイスは俺の心中を察したのだろう、俺を諭す様にそう言った。
「そうだな。まずはその事を喜ばなくてはな」
ミュッケンベルガーの口ぶりだと捕虜交換は無事実施されるだろう。だが叛乱軍は再出兵を発表した。その上でアムリッツァには一個艦隊の増援…硬軟取り混ぜての交渉…という事だろうか。軍内部での観測が示す様に、捕虜交換と再出兵、相反する意志表示で此方の混乱を誘う、という…一番辻妻が合う見方だ。戦争は継続中で、捕虜交換の為に一時的に休戦した訳でもない。何も警戒を解く理由はないという事だ。叛乱軍が再出兵を行うとしても一個艦隊の増援では明らかに兵力が足りない。
「国内向けのアピールだろうか…」
「どうかなさいましたか?」
思わず口にしていた様だ。キルヒアイスが俺を覗き込む。
「いや、叛乱軍の再出兵の件だ。捕虜交換実施の一方で再出兵…奴等の国内向けのアピールではないかと思ったのだ」
「我々の混乱を誘うと同時に、叛乱軍国内の引き締めを図る…という事でしょうか」
「捕虜交換に対する反発は帝国内でもあった、だったら奴等はどうなのだろうと思ってな。戦争が始まって以来、自然に休戦状態になった事はあっても、戦いそのものを止めた事はないのだ。その休戦状態というのも、両陣営で猛威を奮ったサイオキシン麻薬の撲滅の為で、戦争を止めた訳ではなかった」
「では、彼等の再出兵の発表は、叛乱軍内部の捕虜交換反対派に対するバランスを取った結果…という事でしょうか?」
「そういう可能性もある。何にせよ我々は警戒を解いてはならないという事だ」
「そうですね…」
警戒…とりあえず無事だとはいえ、姉上は大丈夫だろうか。ミュッケンベルガー個人の護衛としてリューネブルクを付けたものの、まさか姉上を伴なってフェザーンに行くとは…公式発表はなされてないから、姉上が捕虜
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