激闘編
第九十九話 捕虜交換式前夜
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辺りまで進出している筈だった。今の所は問題はないが、彼等の動きが捕虜交換に影響を及ぼさないとも限らない。しかも叛乱軍は奴等の公式発表として此方への再出兵を公表していた。この事も有志連合軍に不安と刺激を与えているに違いなかった。だが叛乱軍の使節は既にフェザーンに到着しているし、捕虜交換は間違いなく行われるだろう。軍内部では、『叛乱軍の再出兵の発表は、たとえ捕虜交換は行っても我々と馴れ合うものではない、敢えて相反する意志表明を行って帝国を混乱させるつもりだろう』という見方が強かった。おそらくその通りだろう。そうでなければフェザーンに叛乱軍の使節が到着している筈がないからだ。勿論そう思わせておいて本当に再侵攻してくる恐れもある。その時には改めてオーディンにて待機している十個艦隊を動かせばよい。オーディンには既に有志連合軍は居らぬだろうし、十個のうち二個艦隊も残せば首都の混乱を防ぐには充分だ。叛乱軍は我が正規艦隊のうち十二個艦隊と有志連合軍を相手にする事になる。有志連合軍など弾避けにしかならないかも知れないが、それでもその数は叛乱軍にとっては脅威だ。奴等の足を止めるには充分だろう。
6月11日14:00
ヴィーレンシュタイン宙域、銀河帝国軍、ミューゼル艦隊旗艦ブリュンヒルト、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
「ラインハルト様、総旗艦ヴィルヘルミナよりFTLです」
嬉しそうな顔をしてキルヒアイスが俺の部屋に入って来た。ヴィルヘルミナはミュッケンベルガーの座乗艦だ、嬉しそうな顔をする理由などない筈だが…。
”久しぶりね、ラインハルト“
「…姉上!いや、グリューネワルト伯爵夫人ではないですか…今何処に居られるのです、いや何故ヴィルヘルミナに?」
“ミュッケンベルガー閣下が陛下に働きかけて下さったのよ。私を陛下の名代として捕虜交換式に、と”
「それは…ではご無事なのですね」
“ええ…ヴェストパーレ男爵夫人も一緒よ…元帥閣下と代わるわね”
“約束は守ったぞ、ミューゼル”
「何とお礼を申し上げればよいか…まことにありがとうございます」
“男むさい軍艦にお乗せする事になったのは不本意だが、此処なら安全であろう。そちらの状況はどうか”
「はい。まず叛乱軍ですが、強行偵察の結果、アムリッツァに一個艦隊規模の増援を確認致しました。これを受け、現在ヴィーレンシュタインにて臨時の根拠地を造成中であります。完成次第ボーデン、フォルゲン宙域の哨戒を強化致します。続いて有志連合軍ですが、シャンタウにて集結中の模様です。艦隊編成はまちまちですが…およそ十万隻を越えるものと思われます」
“十万隻…穏やかな数ではないな”
「その中には幾らか正規軍艦艇も含まれております。申し上げにくい事ながら、もしかすると幕僚
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