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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
 【第7節】はやて、暴走。コスプレ祭り!
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いします」
 ガイウス王は、転送という技術についてもすでによく理解していました。第一次調査隊の上陸部隊が現地の魔導師たちの目の前で艦内に収容されたことが、何度もあったからでしょう。

 そこで、はやてはまた相手を切り替え、別の通信機に向かってこう言いました。
「ヴィクター。そちらは、今、どうなっとる? 13人、(そろ)うたか?」
 現地の王族にも聞かせるため、言語はわざとローゼン首都標準語を使っています。
「はい。間もなく揃います。それで、先程から現地の魔導師たちが『王宮へ案内するので、ついて来てほしい』と言っているのですが、これは従った方が良いのですか?」
「いや。王様によぉ訊いたら、『歓迎の(うたげ)(もよお)したいので、パーティー用の服装で出直してほしい』とのことやったからな。一旦、全員を艦内に転送し、着替えた上で、今度は全員で王宮区へ直接に再上陸することにしたわ。
 そういう訳やから、今そこにおる人たちにも、ヴィクターの方からそう説明しておいてや。それが終わり次第、君ら13名を転送で艦内に収容するわ」
「解りました」

 二人がそんな会話をしている間に、アインハルトは取り急ぎ、カナタとツバサとザフィーラとヴィータとミカゲの5人に、念話でこう「お願い」をしました。
《済みませんが、皆さん。いろいろあって、この王都では、私は完全に『男性だ』と思い込まれてしまっておりますので、どうか全員で口裏合わせの方を、よろしくお願いします。》
《何だ? 誤解を誤解のままにしておきたい、ってことかよ。》
《はい。これ以上、姫君たちを(いたずら)に混乱させたくはありませんので。》
《……まあ、その方がかえって面倒な説明をせずに済むってことか。》
 ヴィータは少し(あき)れたように軽く鼻を鳴らしながらも、アインハルトに了承の意思を伝えました。

《ああ。それと、今、カナタとツバサから聞いたのですが、局では『執務官の親族関係は特秘事項あつかい』ということになっているので、カナタとツバサは艦内で、一般の陸士たち15名に対しては、『自分たちにとって、アインハルトは「隣の家のお兄ちゃん」である』という「設定」にしておいたのだそうです。》
《……それで?》
《しかし、この王宮では、カナタとツバサは『私の妻の妹たちである』という「設定」になっておりますので、こちらも、全員で口裏合わせの方を、よろしくお願いします。》
《何だよ。異邦人には本当のコトを教えておいて、局員に対してはウソをそのまま(とお)すってことか。》
《ああああ! 結果としては、そういうことになってしまうのですが……済みません。成り行き上、仕方が無かったんです。》
 アインハルトの自責の念(?)に免じて、ヴィータたちはその件に関しても笑って了承したのでした。


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