子守り
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っ玉座ってんな」
痛みに堪えながら、ビーストは右手に猛牛の指輪を付け替える。
『バッファ ゴー』
発動した魔法により、ビーストの右肩に牛のオブジェとマントが装着される。
「ふん」
さらに追撃してくる蝶の大群。
ビーストはマントを広げ、ひなを守るように覆う。直後、ビーストを嘲笑うように蝶のミサイルが無数に爆発を繰り返してくる。
「ぐ……うああああああああああっ!」
連続する痛みに悲鳴を上げながら、ビーストの体からぐったりと力が抜ける。
「らいおんさん?」
「へへ、だ、大丈夫だ。怖くないからな」
ビーストは仮面の下で笑顔を作り、自らのバッファマントを剥ぎ取る。
あまり何度も聞きたくないような音が自身の体から響くが、構うことなくビーストはそれを日菜に纏わせる。
「ほら、かっこいいぞ? マントが付いていると、お嬢さんもお姫様みたいだ」
「ひな、おひめさまー!」
無邪気な笑みを見せるひな。
ビーストは安堵し、パピヨンへ振り替える。パピヨンは少し浮かび上がりながら、その手を額に当てている。
「喜べ、ビースト。君が俺の初勝利の相手となる」
「初勝利が子供を守っている相手でもいいのかよ」
「命がチップだ。卑怯だろうが何だろうが、勝つために動くさ」
パピヨンはにやりと笑みを浮かべ、指を鳴らす。
同時に、ビーストは自らの姿が何者かの影に隠れていくことに気付いた。
「なっ……! 何だあれは……!」
ビーストの目線の先にあるのは、空をびっしりと埋め突くす量の蝶。 ビーストだけでは、そしてウィザードだけでは、ひなやこの保育園を守ることは難しい。
「デイダラに対抗しているんだ。これだけの数を用意するのは当然だろう?」
「お前、ふざけんなよ……!」
「今俺を攻撃したところで、もう止まりはしない……さあ、ここまでの事をする参加者もおるまい!」
あたかも勝利を確信したかのように、パピヨンは両手を上げる。
そして、華麗なる爆発物は、この保育園一体を焦土へ変えるために。
「……何?」
だが、パピヨンは顔を顰める。
「なぜ爆発が……」
「あれは……!」
その正体は、ビーストがいち早く理解した。
蝶たちは、動きを止めていたのだ。あたかも時が止まったかのように空中に固定されている蝶たちを凝視すれば、それが半透明の物質に閉じ込められているのが分かる。
「ちめたい! ちめたい! あははは!」
半透明の物質は、そのまま保育園の温度を下げる機能もあるようだ。保育園をドーム状に覆うそれは、そのままパピヨンの蝶も、デイダラの鳥もその厚みに閉じ込めている。
半透明の冷気をもつもの。すなわち氷。
「この氷は……
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