【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
【第6節】状況終了。アインハルトの登場。
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いんだから! 女子力、低すぎるヨ!》
《よ……選りにも選って、カナタにそれを言われるとは!》
よほどのショックだったのか、ツバサも思わず右手を心臓の上に当てて、その場にがっくりと膝をついてしまいました。
と、その時、上空から突然、一頭の巨大な狼がその場に舞い降りて来ました。
もちろん、ザフィーラです。彼ほど強い魔力の持ち主ともなれば、結界で出力を何十分の一かに抑制されていても、普通に空を飛ぶ程度のことは造作もありません。
「二人とも無事か?! ……アインハルト? ……おい、カナタ。これは一体どういう状況だ?」
「え〜っと、ですね〜。ボクらが街で出逢った女の子が、たまたまこの国の王女様で……追われてやむなく壁を飛び越えてみたら、たまたまそこが王宮区で……いよいよ例の笛を吹いたら、たまたま目の前に兄様が現れて……みたいな状況です」
カナタのごく大雑把な説明に、ザフィーラは思わず苦笑しました。
「まったく、『たまたま』だらけだな。……ところで、ツバサはどこか痛むのか?」
「ああ、すみません。ちょっと、心が……」
「ボクに言われたのが、そこまでショックなのかヨ!」
カナタは思わず、実際に大きな声を上げてしまいました。
「ア、アインハルト様! お、狼が、喋っています!」
「ああ。大丈夫ですよ、姫。あの方は私たちの仲間で……」
アインハルトがアティア第一王女に詳しく説明しようとしたその矢先に、二人の背後から、不意にもう一人の人物が「いささか芝居がかった口調のセリフ」とともにその姿を現しました。
「おやおや。二人とも、そんな隅の方で、一体何の内緒話をしているのかね?」
四十前後と思しき大柄な男性は、最初は妙にニヤニヤとした笑顔を浮かべていましたが、ザフィーラの姿を見るなり、一転して険しい表情を浮かべて素早くアティア王女の前方に回り込み、即座に腰の長剣を抜こうとします。
「お待ちください、陛下! あちらは私の仲間です。私の身を案じて、はるばる様子を見に来てくれたのです。……ザフィーラさん。取りあえず、人間の姿に戻ってはいただけませんか?」
「うむ。その方が良いのなら、そうしよう」
ザフィーラが素早く人間の姿に戻ると、アインハルトはアティア王女の狼狽をよそに、また言葉を続けました。
「しかし、あなたが、今この場にいるということは……本当に、八神提督がこちらに来ておられるのですか?」
「うむ、上層部からの指名でな。……それよりも、アインハルト。お前は随分と厚遇を受けているようじゃないか。オレはてっきり、地下牢で鞭でも打たれているだろうと思っていたのだが……」
それには、アインハルトよりも先に、国王が答えました。
「とんでもない! 七百と七十七年ぶりにベルカ
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