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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
 【第6節】状況終了。アインハルトの登場。
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ボクには教えてくれなかったんだよ!」
「確証が得られなかったんですよ。それでも、公爵家に対する口ぶりから、おそらく、本当は公爵よりも身分が上の生まれなのだろうと推測できました。しかし、公爵家よりも(くらい)が高い家柄は一般に王家しかありません。
 それと、自分や母親の名前を口にする時、あれほど言いづらそうにしていたのも、『この国の人間ならば、王女や王妃の名前ぐらいは知っていて当然だ』と思い、自分の身分を(さと)られたくはないと考えたからなのでしょう?」
「すみません。全くそのとおりです。わたしは少し……お二人を(だま)そうとしていました」
「そうか! 兵士たちが妙に及び腰だったのも、相手が王女様だったからなんだ!」
「そのとおりです。……お二人とも、本当にすみませんでした」
「いや。まあ……身分を隠してたのはお互い様だから、ボクだって別に本気で怒っちゃいないんだけどサ」
 カナタはそう言って肩をすくめました。

 そこで、ユリアはふと小さな矛盾に気が付きました。
「あれ? でも、アインハルト様! 先程は、こちらの二人から『兄様』と呼ばれておられたようですが、確か、アインハルト様には、もう親兄弟は一人もいらっしゃらないというお話だったはずでは?」
「ええ。ですから、そちらの二人は妻の妹たちです。義理の妹なんですよ」
「えっ? あの……『妹』ですか? 『弟』じゃなくて?」
「ああ。すみません、ユリア。私たちは仕事の都合で今日もこんな格好をしていますが、何と言うか、その……二人とも、普通に女の子です」
「ごめんね、ユリア〜。ボクらは普段からこんな感じだから、今日もこの件に関しては、特に騙してるつもりは無かったんだけどサ〜」
 双子はごく軽い口調でそう答えたのですが、それを聞いた途端、ユリアは絶望の表情でがっくりとその場に両膝をついてしまいました。
 そのまま両手で顔を覆い、いきなり涙声を上げます。
「そんな! あんまりです!」

《ええっ? いきなり何事ですか?》
 ツバサの当惑をよそに、ユリアは独白を続けました。
「生まれて初めて好きになった人には、実は、もう身重の奥様がいらっしゃって……今度こそ本当の恋かしらと思ったら、実は、相手が女の子だったなんて!」
《え? 恋って? ……ええっ!?》
《あ〜あ。やっぱり、こうなっちゃったか〜。》
《やっぱりって、何ですか、カナタ! 何か解ってるなら、教えてくださいよ!》
《要するに、ユリアは最初からツバサに『一目惚れ』してたんだヨ!》
《ええっ? 一目惚れって……そんな要素は、どこにも無かったでしょう??》
《アリアリだよ! ただ手をつないだだけでドキドキするなんて、ボクですら解るレベルなのに! ……まったく、ツバサは「女の子の気持ち」ってものがゼンゼン解ってな
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