暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
 【第5節】三人の逃亡劇とその唐突な幕引き。
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いてユリアを立たせました。しかし、当然のことながら、ユリアは何やら愕然とした表情で、こんな言葉をもらします。
「えっと、あの……わたし、全然どこも痛くなくて……何だか、その……体を少しも地面にぶつけてないような気がするんですけど……」
 すると、双子はまたすかさず、こう(こた)えました。
「あ〜、それはきれいに転がったんだね〜。良かった、良かった」
「それに、緊張していると、多少の痛みなど、自分でもしばらくは気がつかないコトだってありますからねえ」
(……そういうものなのでしょうか??)
【ユリアは誤魔化されています!(笑)】

 場所はいつしか下町を離れ、閑静な住宅街となっていました。
 ここではもう、街路に入っても(人混みも無い上に、大通りよりも道幅が狭くなっているので)かえって捕まりやすくなるだけです。
 そこで、三人は大通り沿いに元のT字路まで引き返し、上下道を下ろうとしましたが、その上下道の下の方には、すでに兵士らの姿がありました。環状道の向こう側からも兵士らが現れ、三人はやむなく「今、来た道」をまた引き返します。
 三人は次のT字路(上り道)を通り過ぎて、さらに次のT字路(下り道)を目指したのですが、その手前でまたもや兵士らに行く手を(はば)まれてしまいました。
 7番目の環状道で前後を挟まれた形です。三人はやむなく少し戻って、上り道へと逃げ込みました。
 しかし、6番目の環状道でも、三人はまたすぐに同様の状況に陥ってしまいます。
 どうやら、兵士らは三人を「全くの無傷」で捕らえようとしているらしく、あからさまな攻撃は一切して来ませんでした。それでも、巧みな連携で、三人の行く手を次々に(さえぎ)っていきます。
 三人はどうしようもなく、そのまま上へ上へと追い立てられて行きました。

 そうこうするうちに、三人はいつしか『抑制結界』の下に入りました。場所はすでに貴族たちの住む〈中央区〉です。
 そこで、ユリアは息を切らして立ち止まり、ふとこんな弱音を吐きました。
「あの……お二人とも……もういいです」
「はあァ?!」
《何がいいんだヨ!?》
 カナタはやや威嚇的な声を上げてしまってから、後半は念話でそう毒づきました。
「あの兵士たちは多分、わたしがお二人にかどわかされていると勘違いしているんです。おとなしく捕まって、わたしが彼等に事情を説明すれば……」
「そうやって、何でもすぐに(あきら)めてしまうんですか?」
「えっ?」
 ツバサの少し悲しげな口調に、ユリアは思わず驚きの声を上げました。どうして相手が悲しんでいるのか解らない、という表情です。

 そこで、ツバサはじっとユリアの目を見つめたまま言葉を続けました。
「確かに、人生には時として、諦念(あきらめ)が必要になることもあるのか
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