暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
 【第5節】三人の逃亡劇とその唐突な幕引き。
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れにザフィーラやヴィータから『そうしても良い』と言われた上での行為です。】

 そして、一人の魔導師が何やら大きな荷物とともに、随分と大型で縦長(たてなが)の「光の円盤」に乗ってその〈誘導路〉の上を滑り下りて来たかと思うと、その若者は三人のほぼ目の前でその円盤を乗り捨て、その大きな荷物(何らかの魔法装備?)を半ば引きずりながら、大急ぎで向こう側の路地へと駆け去って行きました。
『渡りに舟』とは、まさにこのことです。
《ツバサ。あれって、ライディングボードと同じ要領で乗れるかな?》
《試してみる価値はありそうですね。》
 背後に追手の声を聞いた双子は、すぐさまユリアの手を引いて走り、三人で大型円盤の上に飛び乗りました。
 大人の体格なら、三人乗りはちょっと無理な大きさでしたが、最初に見た一人用の円盤よりは相当に大型なので、小児(こども)の体格ならば何とかなりそうです。
「えっ? あの……お二人とも、これは……」
《行っけぇ〜〜!》
 カナタの心の声に合わせて、円盤は滑らかに「今、来た道」を戻り始めました。
 やはり、どこか別の場所では「誘導路の設定」が行われているだけで、個々の円盤の動きは必ずしもそちらで完全にコントロールされている訳ではないようです。

「ユリア。立っていると危ないですよ」
 しゃがみ込んだカナタの背後で、ツバサはそう言ってユリアを座らせながら、みずからも彼女の隣に片膝をつきました。
(えっ? でも、これって、確か、普通の人には動かせないはずなんじゃ……。)
 ユリアの当惑を他所に、円盤は次第に速度を上げて行きます。
「次を左に曲がるヨ。二人とも、重心移動、よろしく!」
(えっ? ……ええ〜っ!)
「ほら、こんな感じで」
 ツバサは自分の体を左に倒しつつ、右隣にいるユリアの右肩を抱いて、自分の側へと引き寄せました。
(えっ? あの……近いっ! 距離が近いんですけどっ!)
 ユリアはもう二重の意味でドキドキです。(笑)

 三人を乗せた大型円盤はT字路をきれいに左折して9番目の環状道に入りました。
「次は右に曲がるヨ!」
「カナタ! それだと問題の区画から遠ざかってしまいますよ!」
「だって、しょうがないじゃない。光の道がそっちにしか伸びてないんだから!」
「あの……多分、元の場所へ戻るようにプログラムされてるんだと思います」
「とにかく、今は右へ! コケないように、重心移動、よろしく!」
 円盤はまた、きれいに右折して今度は上下道に入りました。
 それから、円盤はまた左折して8番目の環状道に入り、さらに右折してまた上下道に入り、いよいよ速度を上げて行きます。
「カナタ、そろそろ止めてください。これだけ距離を稼げば、もう充分です」
「えっと……二人とも、ゴメン! 止め方、解んない
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