【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
【第4節】運命の出逢い? ユリア、登場!
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寄っていないので、この人物を見た覚えも無いんですが……。ちなみに、この女性はどういう人なんですか?」
ユリア「わたしの、母なんです。その……もう半年ちかくも行方知れずなんですけど」
ツバサ「行方不明、というと?」
ユリア「聞いた話ですが、昨年の14月に旅先の山道で、馬車ごと崖の下に落ちてしまったのだそうです。父は、もう何だか諦めてしまっているみたいなんですけど……馬車の残骸を調べても、その辺りには御者と馬の死体しか見つからなかったということなので、わたしは、まだどうにも諦めきれなくて……」
ツバサ「なるほど。そうでしたか」
ユリア「それで、『今朝方、下町の南西区で母らしき人を見かけた』という話を聞いたものですから……わたし、居ても立ってもいられなくなってしまって……。昼食会の話さえなければ、もっと早くに動けていたんですけど」
カナタ《ねえ、ツバサ。こういう時って、後々のことを考えると、早目に教えておいてあげた方がいいんじゃないのかな? 『今朝、下町にいた人は、実は、ユリアのお母さんじゃないんだよ』って。》
ツバサ《確かに、それも一理ありますが……。でも、カナタ。今それを言うと、私たちは芋蔓式に、この場で八神提督や管理局のことなど、すべてを白状せざるを得なくなってしまいますよ?》
カナタ《え? ……ああ、そうか! ……正体を隠すのって、難しいなあ。》
ツバサ「解りました、ユリア。それでは、一緒に探しましょう」
ユリア(大喜びで)「いいんですか!?」
カナタ《ちょっと待って! ホントに、それでいいの?》
ツバサ《大丈夫ですよ。私に考えがあります。》
「ええ。それで、お母様のお名前は、何とおっしゃるんですか?」
ユリア(不意に口ごもって)「ええっと、その……何て言うか……これまた、この都では本当に平凡な、その……どこにでもある名前なんですけど……グロリアといいます」
カナタ《え? それって、屋台のおばちゃんが言ってた、あの?》
ツバサ《ええ、そうですね。これは、いろいろとつながって来ましたよ。》
ツバサは、他にも何かいろいろと察しがついたようですが、今はまだ何も語りませんでした。一息ついたところで、三人はいよいよ下町の南西区へ向かうことにします。
すると、ユリアはバッグから、小さく丸められていた薄地のマントを取り出して身にまとい、深々とフードをかぶりました。
見るからに安っぽいマントですが、どうやら顔を隠しつつ「平民に変装」しているつもりのようです。実際には、マント一枚で仕草や気品まで隠すことはできないので、実のところ、今ひとつ「平民らしく」は見えないのですが、ここではあえて本人の気持ちに水を差す必要も
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