【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
【第4節】運命の出逢い? ユリア、登場!
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い物音がすることに気がつきました。どうやら、本当に誰かが追いかけて来るようです。
「解りました。南西区ですね。カナタ、先導をお願いします」
「よぉし。太陽の方角からして……あっちだな!」
「さぁ、私たちも」
カナタは軽快に走り出し、ツバサも素早く少女の手を取ったのですが、その途端、少女はビクリと体を震わせ、その場に硬直してしまいます。
「どうしました?」
「あの……すみません。わたし……人と手をつなぐのとか、ゼンゼン慣れてなくて……」
「でも、ここで固まっていたら、すぐに捕まってしまいますよ?」
「そっ、そうですよね! すみません!」
「じゃあ、走りますよ。とにかく、今はこの場から早く離れましょう」
「はい!」
そうして、ツバサと少女もカナタの後を追って走り出しました。少女は何やら妙にドキドキしてしまっています。
しかし、〈中央区〉を出て、上層市民の住む「閑静な住宅街」に入ったあたりで、少女は早々と息を切らしてしまいました。仕方なく、三人は一旦、人目を避けて少し街路の奥に入り、そこで休憩を取ります。
カナタ《うわあ。まだ丸1キロも走ってないのに……。この子、体力、無さすぎ!》
ツバサ《まあ、普通のお嬢様はこんなものでしょう。普段から陸士隊で鍛えている私たちと比べるのは、さすがに可哀そうですよ。》
カナタ《これなら、ボクが背負って走った方がまだしも早いんじゃないのかなあ?》
ツバサ《いや、それはダメでしょう。彼女はあまり「身体的な接触」に慣れていないようです。先程も、私が手を取っただけで、ビックリしてましたからね。》
カナタ《いや、それは……。まあ、そうなんだろうけど……。》
ツバサ(カナタの微妙な反応に、内心では首を傾げながらも)
《それより、この機会に、少し聞き取り調査を進めておきましょう。》
ツバサ「ところで、お嬢さん。お名前をお訊きしてもよろしいですか?」
女の子「えっ? ああ、はい! あの……わたし……何て言うか、その……この都では本当によくある、その……平々凡々な名前なんですけど……ユリアといいます」
カナタ《この子は一体何と戦ってるんだろう? ……もしかして、偽名なのかな?》
ツバサ《もしそうだとしても、今は、それは特に問題ではありませんよ。》
「ユリアさんですか。いいお名前ですね」
ユリア「あの……では、あなたたちのことは、どうお呼びすれば?」
カナタ「ボクはカナタ。そっちはツバサだヨ」
ユリア「……何だか、とても珍しいお名前ですね?(吃驚)」
カナタ《あ、しまった! こちらも、何か偽名とか使った方が良かったのかな?》
ツバサ《いいんじゃないですか? どうせローゼン風の名前な
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