暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
 【第3節】カナタとツバサ、潜入捜査開始。
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力感に打ちひしがれている』という表情です。
《すみません、ザフィーラさん。……これから、自分は一体どうすれば良いのでしょうか?》
《うむ。済まんが、お前はもうしばらく、この二人に付き合ってやってくれ。オレはもう少し西の方を回って来る。》
《ええ……。》
 元々が真面目な性格の一等陸士は『見捨てないで!』と言わんばかりの視線をザフィーラに向けましたが、それでも、ザフィーラはそれをあっさりと見捨てて、(ひと)りその場から離脱して行きました。


 さて、喜んで駆け出して行った双子は、その街路を北に抜けて大通り(10番目の環状道)に出ると、ザフィーラとは逆の方向へ進んだ方が良いだろうと考えてそこを右折し、次のT字路を左折してまた上下道を(のぼ)って行きました。この上下道を南へ真っ(すぐ)に延長すると、ちょうど先の広場の真ん中を突っ切って、あの市門にぶつかるぐらいの位置関係です。
 アインハルト兄様(にいさま)のことを思うと、やはり気が()くのでしょうか。双子は、住民への聞き込みも後回しにして先を急ぎました。
 環状道に出たら右折して、次の「王宮区に向かう上下道」に入る。そんなジグザグの動きをもう三回も繰り返すと、いつしか下町の喧騒(けんそう)は遠ざかり、周囲は上層市民が暮らす「閑静(かんせい)な住宅街」となっていました。
 7番目の環状道を抜けたところで、双子はようやく走るのを()め、妙に人気(ひとけ)の無い歩道をゆっくりと歩き出します。

 カナタ「ところで、ツバサ。ザフィーラさんから最後に渡されたのって、何? 発信機?」
 ツバサ「それが……(と言って()を開き、カナタにも「それ」を見せながら)私の目には、どうも犬笛のように見えてしまうんですが……」
 カナタ「……いや。それは誰がどう見ても、間違いなく犬笛だヨ。(笑)」
 ツバサ「ザフィーラさんが狼の姿に変身できるのは知っていましたが……もしかして、あの人は人間の姿のままでも超音波とか聞こえるんでしょうか?」
 カナタ「うわあ……。それ、一体どんな魔法?」
 ツバサ「冷静に考えると、八神家の皆さんは本当に謎だらけですよねえ……」
 カナタ「そう言えばサ。昔の写真とか見ると、提督とヴィータさん以外はみんな、外見が全く変わってないよネ。あれって、一体どうなってるの?」
 ツバサ(無言のまま、肩をすくめて「お手上げ」のポーズ。)

 カナタ「ヴィータさんも、小児(こども)の姿の写真と大人の姿の写真はあっても、中間の姿の写真が一つも無いし……それに、ミカゲさんやアギトさんやリインさんって、あの体格で、実は、もうオトナなんだよね? 全員、ミッドの出身じゃないとは聞いてるけど、どこかに『小柄な人たちばかりが住んでる管理外世界』とか、あるのかな?」
 ツバサ「さ
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