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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
 【第3節】カナタとツバサ、潜入捜査開始。
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 ザフィーラ《いいか、ツバサ。もし、本当にお前たちの手には負えない状況に陥ったら、迷わずこれを使え。どこにいようと、オレが必ず二分以内には駆けつけてやる。》
 ツバサ《解りました。》
 カナタ(役に戻って)「じゃあ、叔父さん。ちょっと行って来ま〜す」

 双子は先程の街路に戻り、そのまま北へと駆けて行きました。

【実は、この頃、ミッドの聖王教会本部では、ヴィヴィオの身にとんでもない異変が起きていたのですが……もちろん、彼等はそれを知る(よし)もありませんでした。この異変については、また第二部でやります。】


 一方、ザフィーラはその路地を真っ(すぐ)に抜けて、一旦、また先程の上下道に出ました。
 しかし、そこを(のぼ)って10番目の環状道に入り、左折して西へと(南西側の門の方へと)どんどん進んで行くと、やがて前方に一台の馬車を遠巻きに取り囲むような人集(ひとだかり)が見えて来ます。
 よくよく見れば、その人集(ひとだかり)の中心にいるのは第二分隊の三人組でした。

 ヴィータ《おう、ザフィーラか。丁度いいところに来た! こいつを何とかしてくれ!》
 ザフィーラ《ヴィータか。一体何をやってるんだ?》
 ヴィータ《知らねぇよ! はやてが抜けた分まで頑張ろうと動いてたら、いきなり貴族のオッサンに(から)まれたんだ。平民が貴族の馬車の前を横切るのは無礼だ、とか何とか抜かしやがって。今はオルドメイが対応してるんだが、こいつじゃ、どうにも押しが弱い。……ったく、暴れちゃいけねぇってのは、ホントに面倒だぜ!》
 ザフィーラ(少し考えてから)《いや。いいぞ、ヴィータ。少し暴れろ。》
 ヴィータ《はあァ? 何言ってんだ、てめぇ! いい訳ねぇだろ! 後で、はやてに怒られるのはアタシなんだぞ! ……て言うか、お前、双子の御守(おもり)はどうしたんだよ?》
 ザフィーラ《ああ。(あるじ)はやても先程、『このままではラチが明かないから、少し状況をかき乱した方が良いかも知れない』とは言っていた。それで、オレも今、双子を自由に泳がせているところだ。だから、お前たちも少しだけ暴れてみろ。》
 ミカゲ《……ホントに良いのデスか?》
 ザフィーラ《ああ。責任はオレが持つ。ただし、まだ変身やユニゾンはするなよ。騒ぎが大きくなりすぎるからな。それから、なるべく負傷者も出さないように気をつけろ。》
 ヴィータ《解った! それで良いなら、話は(はえ)え!》

「グダグダ言ってんじゃねぇぞ、このチョビヒゲ野郎! 貴族様だか何だか知らねえが、黙って聞いてりゃいい気になりやがって!」
 ヴィータは怒声を上げて素早く間合いを詰めると、馬車の(ながえ)を(つまり、馬たちの(くびき)と馬車の車体とをつないでいる長い()を)いきなり正拳の一撃で
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