【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
【第3節】カナタとツバサ、潜入捜査開始。
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バサから一本ずつ自分の串を受け取ります。
ツバサ《どこかに座って食べられる場所があればいいんですが……。》
カナタ《でも、現地の人たちは、みんな、普通に歩きながら食べてるみたいだよ?》
ザフィーラ《あまり行儀の良いことではないが……。まあ、郷に入っては郷に従え、か。》
三人は仕方なく、歩きながら食べ始めました。食べながらなので、声には出さず、また念話で話を続けます。
ツバサ《取りあえず解ったのは……第一次調査隊の来訪は人々の間で噂になっているが、まだ「別の世界からやって来た」とはバレていない……というコトでしょうか?》
ザフィーラ《うむ。アインハルトを捕らえている以上、王宮の連中はもう真相に気づいているはずだが、一般民衆にはまだ伏せているのだろう。》
カナタ《そりゃ、知識階級だったら気づきもするよネ。兄様は衣服だって、この世界のものじゃないんだし……。それに、左右で色違いの瞳なんて、多分、ローゼンにも滅多にいないんじゃないのかな?》
ツバサ《ミッドでも「お話」としてはよく出て来るネタですが、私たちも現実には、姉様と兄様の他には、一人も見たことがありませんからねえ。》
ツバサ《……ああ。それから、ザフィーラさん。グロリア様、というのは一体誰でしょう?》
ザフィーラ《解らん。だが、どうやら、誰もが当然に知っているはずの人物のようで、こちらが知らないとバレると、ただそれだけで不審に思われそうだったからな。あの状況では、オレも下手に訊き返すことはできなかった。》
ツバサ《現地の「常識」が解らない、というのは、意外と大変なことなんですねえ。》
ザフィーラ《どの世界でも、常識をあえて言葉に出す者は、滅多にいないからな。》
カナタ《それを思うと、去年のボクらの潜入捜査って、まだ楽な方だったんだなあ。》
ツバサ《あの時は、突き詰めれば、人間関係をたどって犯人を特定するだけの「作業」でしたからね。それに、最後は暴力的に解決しても構わなかった訳ですし。》
カナタ《自分で言うのも何だけど、ボクらの覇王流も結構「サマ」になってたよネ。》
ザフィーラ(笑って)《そうなのか? ツバサ。》
ツバサ《はい。カナタが勢いに任せて首謀者の肋骨までへし折ってしまったのは、ちょっと「始末書もの」でしたけど。(苦笑)》
ひとしきり笑ってから、ザフィーラは不意にこんなことを語り始めました。
《ここは、基本的には豊かで平和な世界だな。この串を見ただけでも、それが解る。》
《……どういうことですか?》
《先端部を切り落しているので、このままでは、もう串として再利用することは難しい。もちろん、衛生の観点からすれば、使い捨てはむしろ望ましいことだが、本当に貧しい世界では、それすらで
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