【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
【第3節】カナタとツバサ、潜入捜査開始。
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屋台のおばちゃん「どうだい? 今なら、焼きたてがあるよ」
そこで売られているのは、竹の串に肉や野菜を刺して焼いた料理でした。形式は日本の「やきとり」ともよく似た感じですが、サイズはむしろ「バーベキュー用の大串」に近く、普通ならば一本か二本で軽食の代わりになる、というサイズです。
屋台の奥では、店のオヤジが具材を串に刺しては、その串の尖った先端部を専用の道具で切り落としていました。
ザフィーラ「そうだな。じゃあ……四本、もらおうか」
おばちゃん「あいよ。(何かのタレを塗りながら)ところで、お兄さん。都は初めてかい?」
ザフィーラ「解るのか?」
おばちゃん「まあ、そんなにも周囲をきょろきょろと見回しながら歩いていればねえ。(笑顔)ほら、できたよ。持てるかい?」
ザフィーラ「おい。しばらく、二人でオレの分も持っていてくれ」
双子「「は〜い」」
(と、二人で両手に一本ずつ受け取る。)
ザフィーラ「代金は……これで足りるか?」
(と、銀貨を一枚、支払う。)
おばちゃん「もちろんさね。いくら都でも、そこまで物価は高くないよ」
ザフィーラ「そうなのか?」
おばちゃん「まあ、家賃や地代は確かに少し高いけどね。普通の食べ物とかは、地方の都市と比べても、それほどは変わらないよ」
(と、お釣りの小銭を手渡す。)
ザフィーラ「そうか。……しかし、地代が高いのでは、屋台の商売も大変だな」
おばちゃん「まあ、ねえ。でも、今時、楽な商売なんて何処にも無いから。(苦笑)」
ザフィーラ「うむ、確かにな。……ところで、今日は魔導師をやけにたくさん見かけるんだが、都では、いつもこんな感じなのか?」
おばちゃん(首を横に振って)「いやあ。まあ、昨年の『あの事件』以来、ぼちぼちと増えてはいたけどね」
ザフィーラ「あの事件?」
おばちゃん(少し声をひそめて)「ほ・ら! グ・ロ・リ・ア・様・の!」
あからさまに「知っていて当然」という口調です。下手に訊き返すとかえって怪しまれそうなので、ザフィーラは咄嗟に『ああ!』と軽くうなずいて見せました。
おばちゃん「でも、今みたいになったのは、せいぜいここ二か月ほどのことさ。何でも、どこか別の国から来た魔導師たちが、この都のことをあれやこれや調べて回ってるって話だよ」
ザフィーラ「それは……何だか、少し気味の悪い話だな」
おばちゃん「全くだよ。何度かこの国の魔道師との乱闘騒ぎもあったって言うし。……まあ、今のところは、まだこれといって特に被害も出ちゃいないらしいんだけどさ。貴族様たちも、早く何とかしてくれないものかねえ」
そこで、また別の客が来たので、三人は足早にその屋台を後にしました。ザフィーラは、カナタとツ
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