【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
【第1節】予定の急変と新世界への到着。
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た。また、『陸海比がおおよそ21対79で、自転軸の傾きが20度あまり』という点は、偶然ながらも惑星ベルカとほぼ同じです。
衛星は一つだけですが、その軌道半径は小さく(つまり、衛星が惑星に近く)、その分だけ公転周期も短くなっていました。朔望周期である「一か月」は、ベルカ世界と同じで18日しかありませんが、その代わりに一年は20か月もあります。
その上、衛星本体の半径は地球の月よりも一回り大きいため、地表から見上げた時の視半径(見た目の大きさ)はことさらに大きく、満月の時の明るさは地球の月のほぼ2倍にも達していました。
これもまた、ベルカの衛星とちょうど同じぐらいなので、古代ベルカ人にとって、ローゼンはさぞかし馴染みやすい世界だったことでしょう。
上陸部隊の面々も、もう「全自動翻訳機の上位機種」の扱いにはだいぶ慣れていましたが、それでも、時間の単位などはそのまま翻訳されてしまうので、『現地の人間が言う「何か月」が具体的に「何日間」のことなのかは、その都度、自分の頭の中で計算しなければならない』という点には、よくよく注意が必要でした。
また、第一次調査隊が調べた限りでは、現地では今も古代ベルカと同じく「春分の直前の新月の日を元日とする、太陽太陰暦」が使用されており、その暦では、『元日が春分の何日前のことになるか?』は年によってまちまちなのですが、「春分の祭儀」は必ず「1月の行事」となります。
実際、今年の春分は、現地の暦では「1月4日」の出来事でした。
ちなみに、今日の日付は、ミッドの暦では「5月9日」ですが、ローゼンの暦では「3月10日」になり、太陽太陰暦では日付と月齢が一致するので、現地では今夜が満月ということになります。
【くどいようですが、この世界の「一か月」は18日しかありません。】
そして、軌道上から見ると、惑星ローゼンの裏半球には、南半球の側を中心として大きな二つの大陸が無人のままに拡がっており、一方、表半球には、北半球の側を中心としてやや小振りな五つの大陸が「横長の楕円形をした海」の周囲をぐるりと取り囲むように並んでいました。
南側の二大陸は相対的にやや大きく、一部は赤道を越えて南半球にまで拡がっており、より小さな北側の三大陸はおおよそ「長軸を内海の側に向けた楕円形」のような形で、その内海から放射状に、おおよそ北西へ、真北へ、北東へと拡がっています。
見ようによっては、その内海を「花芯」に、その五大陸を「不揃いな五枚の花弁」に見立てることもできなくはありません。
古代ベルカ人が、この世界を薔薇の意味で「ローゼン」と呼んだ理由も、おそらくは、そうした「見立て」によるものだったのでしょう。
(古代ベルカで
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