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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
 【第1節】予定の急変と新世界への到着。
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ゃありませんか?」
「……新型ではなく、新式なのですか!?」
 それを聞いて、カナタはふとツバサに小声でこう問いかけます。
「ねえ、ツバサ。新型と新式って、どう違うの?」
「これまでに開発されて来た数々の『新型』駆動炉は、すべて、百年ほど前に実用化された『BU式』という同一のシステムの中での『改良版』でしかありません」
「えっ! じゃあ、新式って、そもそも『BU式』とは全く別のシステムだってこと? それって、一体……」
 ツバサの冷静な回答に、カナタは思わず大きな声を上げてしまいました。にわかに、一同は騒然となります。

 はやては続けて、何やら少し自慢げにこう語りました。
「みんな、想像もつかへんやろ。私が技術部の担当者から聞いた話やと、従来のBU式と今回の新式の違いは、惑星表面の海を行く船に(たと)えたら、『通常のスクリュー船と水中翼船の違い』みたいなモノらしいんやけどな。私も今、自分で()うてて、何のことやらよぉ解らんわ。(苦笑)
 まあ、『百年ぶり』というモノ凄い新技術やからこそ、機密にもせなアカン訳やけどな。私たちは今、『BU式の理論上の上限速度』をも軽く超えることのできる、この新式の駆動炉を、仮に『VT式』と呼んどるよ」
 それを聞くと、ヴィクトーリアは一拍おいて、愕然とした声を上げます。
「それでは、提督。『敵』というのは、まさか〈本局〉の中に?」
「うん。メッチャ残念な話なんやけどな。どうやら〈上層部〉の中に局の機密情報をタチの悪い連中にちょくちょく横流ししとる人がおるらしいんよ」
(それって……まさか……。)
 ヴィクトーリアは思わず心の中で(ひと)(ごと)を漏らしました。どうやら、彼女には何か心当たりがあるようです。

 そこで、ツバサはふと重大な事実に気がつきました。
「それでは、提督。私たちは新世界にも予定よりだいぶ早く到着する、ということでしょうか?」
「そのとおりや。ベルカ世界までは、まだ連中の監視の目も届いとったから、こちらも本気は出せへんかったんやけどな。実は、新航路に入ってからは、今までずっと三倍速で飛ばし続けて来とったんよ」
「え〜っ? ボクたち、それ、ゼンゼン気がつかなかったんですけど!」
 カナタの素直な驚きぶりに、はやても思わず会心の微笑(えみ)を浮かべます。
「この『VT式駆動炉』は静かやからなあ。みんな、昨夜もよぉ眠れたやろ」
「ですが、提督。今までずっと三倍速だった、ということは……もしかして、そろそろ新世界に?」
「そうや。ベルカ世界から新世界までの所要時間は、通常の速度ならば54時間のところ、三倍速やから18時間に短縮された。要するに、()も無く……0900時には、本艦は現地に到着するよ」
 はやてはツバサの質問に、何やら妙に楽しそうな表情で
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