【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第7章】アウグスタ王国の王都ティレニア。
【第1節】予定の急変と新世界への到着。
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席にいるザフィーラに向かって、わざわざ肉声でこう問いかけました。
「ところで、ザフィーラ。みんな、現地の言葉は上達したかな?」
「はい。昨夜、練習の会話を聞いた限りでは、総員とも、すでに『日常会話での現地人との意思疎通には、それほど問題が無い』という水準に達しています」
「うむ。それは上々や」
はやては満足げにうなずき、やがて「最初から軽めになっていた自分の食事」を手早く平らげました。
そして、何人かが自分に続いて食べ終わった頃を見計らって、はやてはようやく「本題」に入ります。
「さて、そろそろ堅苦しい話もせなアカン訳やけど……まだ食べとる人は、食べながらでええから、聞いてな」
はやてはそう言って総員の注目を自分に集めてから、不意に立ち上がりました。
「まず……私は司令官として、みんなにひとつ謝らせてもらうわ」
はやては、テーブルの上に両手をつき、いきなり皆に頭を下げて見せます。
(はァ?)
八神家以外の20名には、一体何の話なのか、さっぱり解りませんでした。当惑に満ちた沈黙の中、はやてはまた顔を上げて言葉を続けます。
「いわゆる『敵を欺くには、まず味方から』というヤツでなあ。実は、私は今まで、みんなをちょぉ騙しとったんよ」
ここまで言われても、皆々はまだ『自分たちが何をどう騙されていたのか、全く解らない』という表情でした。
一拍おいて、ヴィクトーリアがやや躊躇いがちに、こう言葉を返します。
「騙すとは、また穏やかな表現ではありませんね。それに、『敵』というのは一体誰のことなんですか?」
「ん〜。これはホンマに機密やから、みんなにも当分は……下手をすると十年単位で……『守秘義務』を守ってもらわなアカンことになるんやけど。今から話してもええかな?」
「もちろんです。ここまで来て、今さら言葉を濁さないでください」
ヴィクトーリアは決然とそう言ってのけました。他の19名も、みな揃って小さくうなずきます。
それを見て、はやても安堵と満足の表情を浮かべ、初めて「実験艦〈スキドブラドニール〉の秘密」を語りました。
「実は、この実験艦は今回、新たに開発された『新式の』駆動炉を積んどってなあ。普通の次元航行船と比べると、軽く三倍の速度が出せるんよ」
【実を言えば、この艦が「実験艦」などと呼ばれている「そもそもの理由」は、ひとつには『この艦が最初からこの新式の駆動炉を「実験的に」運用するためにこそ建造された艦だったから』なのです。】
これには、コニィとエドガーも思わず驚愕の声を上げました。
「ええっ! 三倍って……。確か、BU式の駆動炉では、最新型でも1.5倍ぐらい。理論上の上限速度でも1.8倍あまりだったんじ
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