第四十話 昔の忍者その四
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「言われてみますと」
「人の道を踏み外すとな」
「どうにもならないですね」
「ヤクザ屋さんはもうそこはちゃう」
織田は強い声で言い切った。
「ほんまや」
「人の道を踏み外しています、私達今神戸にいますが」
「神戸いうたら本場やな」
「大阪と並んでますね」
「あのでかい組の本拠地でな」
「有名ですからね」
「元々港町で」
佐京も言ってきた。
「港の仕事の斡旋で」
「あの組が大きくなったな」
「あと終戦直後自警団もしていたとか」
「あの頃はもう混乱してたわ」
織田は終戦直後の話もした。
「丁度私が生きてた頃やからな」
「よくご存知でしたね」
「ほんまヒロポン打ちながらや」
そのうえでというのだ。
「書いてた時期でな」
「終戦直後の頃は」
「もう結核が進んでな」
持病であり織田の命取りともなかったこの病がというのだ。
「へとへとの状況でや」
「ヒロポン、覚醒剤を打ちながらですか」
「書いてたんやけどな」
「その頃は、ですね」
「戦争の後で混乱しきっていてな」
日本全体がそうだった、街は空襲で焼け野原になり経済は疲弊しきっていて多くの人が亡くなっていた。まさに混乱の極みであったのだ。
「そうであってな」
「治安も酷くて」
「それでや」
「山口組も自警団をしていましたね」
「そんな状況やったんや」
「そしてその自警団をしていたことからも」
佐京はコーヒーを飲みながら話した。
「かなりの力を持ちました」
「そやな」
「興業もして表の仕事、芸能なんかもして」
美空ひばりが有名である、この昭和を象徴する国民的歌手もアウトローの世界と関りがあったということだ。
「かなりです」
「力持ってたな」
「そうでした、ですが今は」
現在はというと。
「暴力団新法が出来て」
「かなり弱まってるな」
「神戸でも」
「大阪もかなり減ったわ」
織田は微笑んで話した。
「昔は名物の一つやったがな」
「大阪も港町ですし」
「興業も盛んやしな」
「ヤクザ屋さんが多かったですね」
「そやった、しかしな」
それがというのだ。
「私が見ても減ったな」
「ヤクザ屋さんは」
「そうなってるわ、しかし私が書くのはな」
「あくまで表の人達ですね」
「色々間違えても憎めへんでな」
「人の道を外していない」
「そうした人等や」
まさにというのだ。
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