第百九十三話
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第百九十三話 博士の文明観
博士は小田切君に紅茶を飲みつつ話した。
「わしは文明は進歩するものだと思っておる」
「そうですよね」
「小田切君もわかるな」
「はい、博士はそうしたお考えです」
小田切君ははっきりと答えた。
「文明については」
「その文明が続く限りな」
「進歩するべきですね」
「そして発展するべきじゃ」
「そうですね」
「停滞する時もあるが」
それでもというのだ。
「トータルとしてな」
「進歩していくべきですね」
「発展してな」
「そうですよね」
「人類の文明も同じじゃ」
「僕達の文明も」
「左様、ドローンにしてもじゃし」
今話しているそれについてもというのだ。
「紅茶にしてもな」
「同じですね」
「そうじゃ、どんどんよくなるべきじゃ」
「味もですね」
「昔の紅茶は今と比べるとな」
今飲んでいる紅茶と、というのだ。
「ずっとまずかった」
「そうですか」
「そして淹れるのも手間がかかった」
そうだったというのだ。
「これがな」
「そうだったんですね」
「それでじゃ」
博士はさらに話した。
「他のあらゆることもでじゃ」
「進歩してよくなるべきですね」
「わしはそれを妨げぬ」
決してというのだ。
「ある文明の発展をな」
「邪魔しないで」
「見守る、時として進歩の為のヒントもな」
それもというのだ。
「見せることもある」
「そうもされますか」
「左様、永遠に進歩すべきじゃ」
「文明は」
「そう考えておる」
こう言ってだった。
博士はまた紅茶を飲んだ、そしてマカロンも出して小田切君にも食べる様に勧めてそうしてそちらも楽しみつつ話を続けたのだった。
第百九十三話 完
2024・8・15
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