第26話:遅参勇者と焦る魔女D
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マドノ殿が?」
ンレボウの質問を補足修正するフノク。
「いや、『星空の勇者』がじゃ」
「言ってる意味が解りません!」
それに対し、フノクはある事をンレボウに白状した。
「わしが独断で聞いた話によるとな―――」
「独断!?」
そう、フノクは『偽一休』事件以降、巨乳へのセクハラ回数を増やすフリをしながら自分なりに星空の勇者に関する情報を収集していたのだ。
その結果、
「星空の勇者に関するとある都市伝説を聴いたのじゃ」
「都市……伝説……」
「世界のどこかに星空の勇者専用の武器が隠されていると」
漸く冷静になったンレボウがフノクを問い詰めた。
「で、証拠は?」
「無い。だが、わしが言いたいのはそこだけではない」
「やめましょう。この話はもうお開きです」
フノクの口調は更に強くなった。
「わしが問題視しているのは、マドノが何故その噂に触れようとしないのかじゃ。マドノは魔王に勝つべく経験値を必死に稼いでいる。にも拘らず、マドノは何故強力な武器が手に入るかもしれない噂に目を向けない?」
「う……」
ンレボウは返答に困った。
だが、フノクはンレボウの返答を待たない。
「星空の勇者専用武器に関する噂、ただ否定するだけならまだしも、何故否定の意思を口にしない?お前さんの様にさっさと否定してくれるならわしはまだ理解出来る」
「そ……それはぁ……」
「だが、マドノは違う。肯定どころか否定すらしなかった。もしかして、星空の勇者専用武器に関する噂すらマドノは知らんのではないのか?」
フノクがマドノに向けた疑念。
それを解く術は今のンレボウには無かった。
「まあよい。この都市伝説はまだ決定的証拠が無い。マドノが経験値稼ぎに飽きたら専用武器を探しに往く可能性も有るしな」
そう言うと、フノクは眠りについた。
「マドノ殿の……専用武器……」
一方、ンレボウはフノクが口にした『星空の勇者専用武器』と言う単語が頭から離れなかった……
次の日……
「次はどこ行きましょうか?」
呑気なノチに対し、マドノもまた暢気に答えた。
「そうだな……」
(!?)
フノクは鋭い視線でマドノを注目した。
しかし……
「もっと張り合いのあるダンジョンに往かないとなぁ……こんな調子じゃ経験値稼ぎの効率が悪いからな」
結局、いつも通りの経験値稼ぎを目的とした大量虐殺の繰り返しだった。
それがフノクの猜疑心を更に強くし、ンレボウの苦悩を更に深くする行為だと気付かずに……
(まだ触れぬか?星空の勇者専用武器の噂に)
どんなに他を圧する強大な城も、内部から腐敗すれば宝の持ち腐れとなってしまう。
マドノが他者の意見を無視して経験値稼ぎを目的とした大量虐殺を繰り返せば繰り返す程、勇者一行の猜疑は深まってしまう。
マドノはもしかしたら……薄氷の
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