第135話『接敵』
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を倒すんだ?」
再び二人の正面に戻った鏡男に、終夜が問いかける。
分析に徹していた甲斐もあり、初見の攻撃すら見切ってしまった終夜。その事実に、鏡男は初めて焦ったような様子を見せた。
しかしすぐさま取り繕い、次なる攻撃を仕掛ける。
「何だ!?」
「きゃっ!?」
突如、二人の目の前の地面から、何かが生えてくるように形成される。それは徐々に人の形をなし、最終的に二人の人物が生成された。
一方は黒雷を手に纏い、もう一方は燃える刀を構えている。
「これは……俺と辻か? なるほど、鏡でコピーって訳か」
「見た目だけじゃなくて、魔術もコピーするなんて……そんな能力あり?」
「レベルで言えば5は確定だな。けど、これじゃ俺達は止められないぜ! 辻!」
「はいはい!」
合図をするまでもなく、二人は即座に入れ替わる。そしてお互いの複製体と対峙すると、
「"冥雷砲"!」
「"紅蓮斬"!」
なんと一息に倒し切った。
「なっ……!?」
「焦ってんねぇ。俺達を敵に回したこと、後悔させてやるよ」
寡黙を貫いていた鏡男も、これにはさすがに声を漏らした。その隙を逃さず、二人は一気に距離を詰める。
しかし、自分の劣勢を察した鏡男はすぐさま地面に潜って撤退してしまった。
「ちっ、逃げられた」
「向こうから仕掛けてきといて逃げるなんて、何がしたかったのかしら?」
「さぁな。でも変な奴だ。魔術の規模も精度も凄ぇのに、肝心の戦闘ではそれを活かしきれていない。戦い方がまるで魔術を覚えたての素人だ」
「矛盾、しているわね」
魔術の成長には戦闘が最も効率的であり、基本的に魔術師の能力の練度は戦闘の経験に比例する。
しかし、鏡男に関しては全くの例外だ。動きが素人なのに、能力の練度だけが異常に卓越している。晴登も成長が早い部類だったが、それすら比較にならないレベルだ。
「何か裏があるな。とにかく追いかけるぞ。あれなら俺達だけでも制圧できる」
「そうね。でもどこに逃げたかわかるの?」
「全くわからん」
「締まらないわね……」
肩透かしを喰らいながら、二人は鏡男を追跡するのだった。
*
「どうしよう……」
目が覚めると、私は知らない場所にいた。
いや、正確には『知っているかもしれないが、知らない風に見えてしまっている』のだろう。
天井も床も壁も全面が鏡張りの四角い部屋。普通の教室にしては面積が広い気がする。たぶん、特別教室のどこか。
目を覚ましたとはいっても寝転がっていた訳で
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