第135話『接敵』
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峰打ちだが、容赦なく振り下ろす。気絶させれば校舎にかかった魔術も解けるだろう。
しかし、鏡男の首元に刀が直撃した瞬間、まるで鉄でも叩いたかのような甲高い音が響き、刀が弾かれてしまった。
「嘘……がっ!?」
攻撃が弾かれて仰け反った緋翼に、鏡男は壁から鏡の柱を突出させて反撃する。緋翼はすぐさま受身を取り、一旦距離を取った。
「鏡斬った時と同じ感じ……たぶん鏡の鎧でも纏ってるわ」
「みたいだな。おまけに、自在に鏡を捻出できるときた。ここは完全に奴の"領土"だな」
魔術師が魔術によって自分のために創り出した環境、それが"領土"。そこでは領主は多大な恩恵を受けることができるが、そもそもの構築には膨大な魔力を必要とする。
よって、領土を使用する魔術師はごく少数に限られるのだが──
「こりゃ本気で行かねぇとヤバいかもな」
「でもどうすんの? さすがに斬るのは嫌なんだけど……」
「そんなこと言われても、俺の電撃は反射されるぜ? せめて櫻井先輩がいれば拘束はできたかもしれないけど」
「でも分断されちゃったじゃない! どうやってあいつ止めんのよ!」
一応やろうと思えば緋翼の刀で鏡を斬ることはできる。しかし、壁ならまだしも人に向けて刀を振るのは、魔導祭の腕輪がない限り勘弁して欲しい。
「まぁ焦んなって。倒せないのは俺達だけじゃない」
「どういうこと……あっ、いなくなってる!?」
「俺は見てたぜ。鏡に入ってくところをな!」
終夜は叫びながら、背後を振り返る。するとそれは、鏡男が鏡から飛び出さんとする瞬間だった。
「当然、鏡の能力持ちなら鏡を移動するのは警戒してたぜ。にしても、愚直に背後に現れてくれるなんて、やっぱりお前──『浅い』な」
読みが当たり、得意げに解説しながら鏡男に掌を向ける終夜。鏡から出た瞬間を狙われるなんて予想もしていなかったであろう鏡男は慌てて鏡の中に引っ込もうとする。しかし、
「逃がさねぇぞ!」
「待って黒木、雷は──!」
「あ、やべ」
緋翼の制止も空しく、終夜の手から黒雷が放たれる。それは鏡男にヒットするも、当然鏡の鎧よって反射され、辺り一面に閃光が迸った。
「あっぶな! 馬鹿なの!? さっきまで自分で言ってたのに!」
「しょうがないだろ! 咄嗟に出るのが魔術なんだから!」
黒雷の次は、緋翼の叱責が飛ぶ。至近距離だったのだからそのまま掴んで引っ張り出してしまえば良かったのに、悲しいかな、終夜は生粋の魔術師であった。
「ま、お前の攻撃が見切れることに変わりはねぇけどな。どうやって俺達
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