【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第8節】三日目の朝。コニィ、秘密の告白。
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でも言わんばかりの笑顔で、そう言ってのけます。
《この二人って、意外と「似た者同士」だったんだなあ。》
《やっぱり、十年以上も「主従」を続けていると、互いに似て来るんですかねえ?》
コニィの告白はもうしばらく続きましたが、それは要するに、『自分はこれまで実の娘に対して母親らしいコトを何もしてあげられなかったから、その分、これからはイッパイ構ってあげたいと思っていたのに、当のウィスメアがハグどころか、普通に手を取ることすらしてくれないので、寂しさのあまり、今でも娘とよく似た年頃のカワイイ女の子を見ると、ついついハグしたくなってしまうのだ』という話でした。
《所詮、ボクは代用品か……。いや、もちろん、それ以上の扱いをされても、かえって困るんだけどサ……。》
カナタは、コニィに背後から固く抱きしめられて何の抵抗もできない状態のまま、ツバサ一人にそう愚痴をこぼしました。
しかし、ツバサはその念話にはただ苦笑を返しただけで、肉声ではコニィにこう問いかけます。
「ところで、そのお嬢さんは、私たちよりも一つ年上なんですよね。今は、何をしておられるんですか?」
「中等科の課程も二年で修了し、ようやく『妹離れ』ができたのか、昨年の春には12歳で陸士訓練校に入り、先月には陸士115部隊に配属されたそうです」
「陸士隊の115番と言うと……管轄は首都圏地方の北中部ですか?」
コニィはツバサの質問に大きくうなずきながらも、またどっと溜め息をつきました。
「私たち、今年は年明けからの仕事が長引き、フェディキアから帰って来た時には、もう4月になってしまっていたので、私はあの子の卒業式にも就任式にも立ち会うことができませんでした。……あの犯罪者どもが〈シフター〉を使って暴れたりしなければ、まだギリギリで間に合っていたかも知れないのに!
それに、あの子もあの子ですよ。『特別な希望』が無ければ、最初は地元に配属されるのが普通なのに、どうしてわざわざあんな『交通アクセスのビミョーな土地』への配属を希望したのでしょう?」
その陸士隊が管轄する地域は、〈本局〉への転送ポートがあるクラナガンやトスフェトカからも遠く離れており、ダールグリュン家があるザスカーラ地方からそこへ行くにも『どこかで「北の大運河」を渡らなければならない』という立地でした。
(昨日の夕食後に、サティムロが語っていた「新たな幹線レールウェイ」が全線開通すれば、ザスカーラ地方からももう少し簡単に行ける場所になるのですが、それはまだ来年のお話です。)
「しかし、地元でもなく、明らかに日帰りができないほどの遠隔地でもなく、他にも選択肢がある中で、わざと中途半端な場所を選択したのだとすれば……それは、お嬢さんなりにいろいろと葛藤をした結果だっ
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