【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第7節】各人の兄弟姉妹に関する雑談。
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念話がそのままに翻訳され、発声されること』を意識し過ぎているのか、あまりいつもの彼女らしくはない、やや硬い口調でこう述べました。
「わたしは末っ子で、姉が一人と、兄が二人おり、この二人は一卵性の双生児なのですが、幼児期にはこの兄たちが揃って三年ほど大病を患っていたため、父も母もそちらに付きっ切りになり……他方、わたしは生まれた時から健康そのもので、性格的にも『あまり手のかからない幼児』だったので、基本的には放置されて飼い犬とともに育ちました。だから、感覚的には少しばかり一人っ子に近いものがあるかも知れません。
いや! 決して家族と仲が悪い訳ではありませんし、今では、兄たちももう人並み以上に元気になっているのですが……正直なところ、普通の家庭で育った末っ子と比べると、バラムさんほどではないにせよ、家族との間には少しだけ距離がある感じですね」
実際には、『少しだけ』というのは、やや控えめな表現だったのですが、ノーラの語り口は、皆にそれを意識させないものでした。あるいは、それを意識させないためにこそ、わざとそういう口調で話していたのかも知れません。
「一人っ子や末っ子は、これで、もう全部かな?」
ザフィーラが視線を巡らせると、ふとヴィクトーリアと目が合いました。ヴィクトーリアはそれを何かの合図とでも勘違いしたのか、唐突にこう語ります。
「私は執務官だから、詳しい家族関係は内緒だけど、『私には兄も弟もいて、私は真ん中だ』とだけ言っておくわ」
実際には、弟は二人いるのですが、彼女もそこまで詳しくは語りませんでした。
「では、ヴィクトーリアの他に、真ん中の者はいるか?」
ザフィーラの声に、今度はフェルノッドとオルドメイ、ゼルフィとガルーチャスの四人が手を挙げます。
そして、今回もまた、三人の陸士たちは陸曹に順番を譲りました。
フェルノッドは、バラムとは対照的に感情を込めて、わざと「ぞんざいな口調」を使いました。
「あ〜。オレは、兄と妹が一人ずついて真ん中なんだが、ガキの頃からどちらとも仲が悪いからな。正直に言うと、オレは一人っ子が羨ましいよ。兄は4年前に24歳で、妹も昨年に19歳で早々と結婚してくれやがったせいで、オレにとって、実家は今や相当に居心地が悪い」
「え〜。生まれつき、兄や妹がいるなんて、ありがたいことじゃないですか〜」
レムノルドは割と本気でそう言ったのですが、妙ににこやかな口調のためか、フェルノッドは、むしろ茶化されているかのように受け止めてしまったようです。
「何が、ありがたいものか! 純朴な弟を平然と騙して、独り笑い転げるようなクソ野郎と、背後から音も無く駆け寄り、温厚な次兄の背中に全力で飛び蹴りをかますような暴力女だぞ!」
フェルノッド
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