【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第7節】各人の兄弟姉妹に関する雑談。
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を挙げていないのを確認した上で、まずワグディスがこう語り出します。
「僕たちは二人そろって孤児で、生まれて間も無い頃からずっと孤児院で育ちました。もしかすると、何処か僕たちの知らない場所で、血のつながった両親とか兄弟姉妹とかが今も生きていたりするのかも知れませんが、僕たちには全く見当もつきませんし、正直なところ、今さら知りたいとも思いません。だから、少なくとも僕たち自身の主観としては、僕たちは二人とも一人っ子なのです」
「え? じゃあ、あなたたちって、その孤児院で兄弟も同然に育った仲だったの?」
ゼルフィが思わずそう訊き返すと、ワグディスは一瞬、『あ、しまった!』という表情を浮かべて、こう答えました。
「ああ、すいません! 言葉がちょっと足りなかったようですね……」
「それぞれに別の孤児院で育った孤独な二人の少年は、地元の訓練校で『運命の出逢い』を遂げたのです!」
相方が言葉を探している一瞬の隙を突いて、童顔のレムノルドは「茶目っ気たっぷりの笑顔」でそう言いながら、いきなりワグディスの胴体にがっしりと抱きつきます。
「ヤメロ! お前がそういう質の悪い冗談をかますから、マジでゲイカップルかと誤解されるんだぞ!」
「実際には、二人とも、フツーに女性の恋人を募集中でーす。(笑)」
《だったら、どうしてそういう「捨て身のギャグ」をかますのよ……。》
《これを見て彼等のことを好きになる女は、ちょっといないわよね〜。》
ゼルフィとノーラは、表情に出さぬよう笑いをこらえながらも、二人だけの念話で密かにそう語り合いました。
続けて、カナタが不意に、少し奇妙なことを言い出しました。
「主観的な話で良いのなら、ボクらもどちらかと言えば、『二人で一人』の一人っ子みたいなものだったよねえ」
(どうやら、『自分たちは幼い頃、二人だけで完結してしまっていた』ということが言いたいようです。)
ツバサはそれにうなずきながらも、『は?』という表情を浮かべている一同のために、こう言葉を足しました。
「一応は、カナタの方が『姉』ということになっていますが、私たちは物心つく前から、双子として良くも悪しくもしばしば『二人きりの世界』を作り、もっぱらその中で生きて来ました。ですから、私たちは普段、『どちらが姉で、どちらが妹』などといった区別は全く意識していませんし……むしろ『二人で一人』という一体感の方が強く、感覚的な面で、普通の姉妹とは相当に異なっていただろうと思います。
また、私たちは母方の祖父母の家に預けられて育ったのですが、私たちの母は実家では末っ子でしたから、母方のイトコたちはみな、私たちよりも年上で、そのイトコたちのうちの二人が同じ家で育てられてい
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