【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第5節】他人(ひと)には言えない八神家の状況。
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や!」
「8000、4000、デェス!(歓喜)」
他の三人が思わず溜め息を漏らす中、合わせて1万6千点の点棒を受け取ると、はやては実にしみじみとした口調でこう語りました。
「それにしても、嶺上開花とはなあ! 小児の頃に家庭用のゲーム機で麻雀のルールを覚えてから30年以上になるけど、こんな珍しい役でアガったのは初めてや!」
「と言うか、マイスターはそもそも普段、カンなんてしませんよね?」
「私は元々、メンタンピン狙いで行くことが多いし……わざわざカンをしても、自分のドラは増えずに、相手のドラだけ増えてしまうというのも、よくあることやからなあ。カンは、危険な『諸刃の剣』なんよ。……それでも、やっぱり、時には『新しいコト』に挑戦してみるものやなあ」
「何だか、幸先が良いデスね!」
「そうやな。新世界もこの調子で行こうか」
西3局。ミカゲは親番を迎えて、もうウキウキでした。
そして、ミカゲが今度は一転してクソ手で逃げ切り、西3局1本場です。
「何だか、流れが変わっちまったなあ」
ヴィータが配牌を見て、思わずそんなボヤキの声を上げると、連荘で親を続けるミカゲは、まず手牌に一枚しか無い「北」を切りながら、はやてにふと尋ねました。
「ところで、マイスター。麻雀に『流れ』って、本当にあるデスか? シグナム姉さんは、ただの主観だと言ってるデスけど」
これには、はやてもしばらく『う〜ん』と唸ってから、慎重に言葉を紡ぎ出します。
「実はな、ミカゲ。世の中には、誰もが納得できる『客観的な考え』と、その人が勝手にそう思い込んどるだけの『主観的な考え』との間に、もう一つのモノがあるんよ。私はそれを、個人的には『主観の共有』と呼んどるんやけどな」
「特定の人物の主観を多数の人間が共有する、という意味デスか? それなら、ただの『共同幻想』なのでは?」
「まあ、それもまた『主観の共有』の一種なんやろうけどな。この用語は、必ずしもそういった『社会的な文脈』の話に限ったコトでは無いんよ」
「もっと幅の広い概念だ、ということデスか?」
「そうや。例えば、こうして四人で麻雀を打っとる時に、実力には差が無いのに、一人だけが『バカ勝ち』しとったとしようか」
ミカゲはそれにうなずきながらも、いきなりこう言って話の腰をへし折りました。
「でも、麻雀の実力って、具体的にはどんな能力なんデスか? 麻雀って、基本的には『運ゲー』デスよね?」
これには、ヴィータが牌を切りながら、はやてに代わってこう答えます。
「前にも言っただろう。第一に、自分の手を作る能力。つまり、なるべく早く、なるべく高い手を、『なるべく相手に
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