【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第4節】守旧派の内情と〈放浪者〉エリアス。
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〉は新世界に向けて出航している、という話)については、慎重に言及を避けていたつもりだったのですが、今のセリフの『帰りにも』という言葉は、いささか失言だったようです。
エリアスはこの時点で、すでにいろいろと察していたようですが、フランツにはそれを覚らせませんでした。
実は、エリアスは、今はまだフランツにも言えない「秘密の目的」があって、ベルカに来ていたのです。
夕食後、お互いの近況などもひととおり語り合った後で、エリアスは、あたかも『今、ふと思いついた』かのような口調で、フランツにこう問いかけました。
「ところで……貨物船の中で、小耳に挟んだ話なんですが……第八地区というのは、ここから近いんですか?」
「今、この大陸にある『八つの発掘拠点』の中では最寄りの拠点だ、というだけのことだよ。近いと言っても、実際には、直線距離で1200キロはある」
「じゃあ、こちらから陸路でそこまで行くことって、可能ですかね?」
これには、さしものフランツもいささか難しい表情を浮かべました。
「まあ、できなくはないだろうが……道なき道を1200キロとなると……いくら浮遊式車両を飛ばしたとしても、途中の休憩時間まで考えると、所要時間は丸12時間でもまだ足りないぐらいになるんじゃないのかな?」
「車両は、フローターなんですか?」
「一般に、管理世界の道路交通法で、浮遊式車両が禁止されているのは、『横から衝撃を受けると、すぐに流されてしまうので、事故が起きた時には、大規模な玉突き事故に発展してしまう可能性が極めて高い』からだよ。
一方、ここベルカでは、発掘拠点以外の場所でも……極端な話、大陸全土のどこであっても……地表のすぐ近く、とても浅い場所に何か大切なモノが埋まっている可能性があるからね。車輪式の車両だと、そうしたモノを知らずに踏みつけて壊してしまう危険性も『絶対に無い』とまでは言い切れない。だから、ここベルカでは、前々から車両は浮遊式の方がむしろ主流になっているのさ」
「なるほど。そういうことでしたか」
(となると……あとは、「相手」の出方次第、ということかな?)
エリアスは「その時」を待ちながら、この第五地区でそのまま2泊することとなったのでした。
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