【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第4節】守旧派の内情と〈放浪者〉エリアス。
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を結ぶこの新航路は「相当に長い部類に属する」と言って良いでしょう。一般の陸士たちは、その辺りの事情も今ひとつピンと来てはいないようですが、実は、ローゼンは〈中央領域〉から遠く離れた「辺境の世界」なのです。】
「ああ……。確かに、その差はデカいですねえ」
「単独でこれほど長い航路は滅多に無いようですが、何本もの航路を通って、幾つもの世界を巡回しようと思うと、やはり、それだけ航続距離がかさみ、時間の短縮は切実な問題となって来ます。そのため、次元航行部隊の艦船は、一般に100%の速度で巡航しているという訳ですね。
それでも、速度というものは『出力さえ上げれば、いくらでも出せる』という性質のものでは無く、当然ながら、上限があります。BU式駆動炉による『理論上の』上限速度は180%あまりですが、実際には、150%を超える速度は燃費も悪い上に、魔力駆動炉への負担も大きく、とても現実的ではありません。だから、昔から次元航行部隊で『最大戦速』と言えば、それは150%の速度のことなのです」
【ちなみに、次元航行部隊で『低速』と言えば、それは一般に75%の速度のことであり、『高速』と言えば、それは一般に125%の速度のことです。】
エドガーがさらに質問を募ると、今度はフォデッサが何やら少し恥ずかしげな表情で手を挙げました。
「あの……ちょっとプライベートな質問とか、しちゃっても良いっスか?」
「お嬢様のプライバシーに関わる問題には、立場上、お答えできませんが、私の話でしたら、まあ、ある程度までは大丈夫ですよ」
「じゃあ、ヴィクトーリアさんがいないうちに、思い切ってお訊きするっスけど……エドガーさんって、随分と小さい頃からヴィクトーリアさんに『お仕え』してたんスよね?」
「はい。そうですが?」
「何て言うか、その……十代の頃に、恋愛感情とか、湧かなかったんスか?」
エドガーは一瞬だけ『は?』という表情を浮かべましたが、すぐに『ああ、そういう誤解をしているのか』と理解しました。
「私が2歳の時に、お嬢様がお生まれになったのですが、その時点ですでに、私が生涯をかけてお嬢様にお仕えすることは、ほぼ確定事項でしたので、後から、そういった余分な感情が割り込む余地は全くありませんでした」
《ええ……。》
これには、ザフィーラ以外の全員が、思わず引いてしまいます。
「正直に言うと、幼い頃は、『自分よりも身分の高い妹』という感覚でしたね。十代の頃も、ただ単に『たとえこの命に代えてでもお護りしなければならない方』という認識でした。いずれにせよ、そうした想いは『忠誠心』であって、いわゆる『恋愛感情』とは全くの別物です。
この現代に普通の家庭で生まれ育った人たちにとっては、ちょっと解りづらい概
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