【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第4節】守旧派の内情と〈放浪者〉エリアス。
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ものが繰り上げられていたのか」
「ええ。理由はよく解らないんですが……まったく、そういう話は事前に告示してほしいものですよ」
「今日の便は、貨物輸送の方が主体で、人員搬送の方は『もののついで』だからねえ。君も、客室の居心地はあまり良く無かったんじゃないのかね?」
「いきなり相部屋でしたよ。まあ、初対面の相手と仲良くするのは、別に苦手じゃありませんけどね。幸い、手許には酒もありましたし。(苦笑)」
エリアスは、少しおどけた口調で肩をすくめてから、また真顔に戻り、改めてフランツに頭を下げました。
「そんな訳で、手土産の一つも無く、申し訳ありません」
「いやいや、気にしないでくれ。大丈夫だよ。手土産なら、先程、ヴィクターからもらったばかりだからね」
「ヴィクトーリア? 彼女、今、ベルカに来てるんですか?!」
これには、エリアスも思わず、いつもより随分と高めの声を上げてしまいます。
「ここには2刻ほど居ただけで、またすぐに仕事に戻ってしまったけれどね。仕事の合間を縫って、わざわざ今年の新茶を届けに来てくれたのさ」
「やっぱり、執務官というのは、忙しい職業なんですねえ」
「まったくだよ。……ところで、君はゆっくりしていけるんだろう?」
「任せてください。自慢にはなりませんが、このエリアス、金は無くとも、時間だけは有り余っている男ですよ」
そのおどけた口調に、フランツも思わず笑ってしまいました。
「実のところ、この席はヴィクターが来ると聞いて、慌てて設えたものだったんだが……そういうことなら、私の居住棟へ移ろう。早速だが、一緒に新茶をいただこうじゃないか」
「いいですねえ。喜んで御相伴に与りますよ」
こうして、二人は場所を移し、そこでまた長々と語らい続けたのでした。
さて、〈スキドブラドニール〉が惑星ベルカを離れた後、ヴィクトーリアとコニィは『少し気疲れしたから』と自室に戻りました。はやてとリインもまた自室に戻ったようで、シグナムたち4人もずっと部屋にこもったままです。
(実際には、はやてだけはちょっと「別の場所」に立ち寄っていたのですが……。)
一方、その8名以外の19名は、再び談話室に移動しました。コニィがいないので、エドガーが全員にお茶を出します。
そして、15時になって新航路に入ると、すぐに少しだけ艦が揺れました。何やら部屋全体がぐるりと振り回されたかのような、ちょっと奇妙な感覚です。
先程、リイン二等空尉が『艦が少しばかり揺れることになるだろうかと思いますが、御心配には及びません』と言っていたのは、おそらく、このことでしょう。
幸いにも、お茶がこぼれてしまうほどの大きな揺れではありませんで
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