【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第4節】守旧派の内情と〈放浪者〉エリアス。
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ベルカの周回軌道に入ったため、普通に貨物投下の準備を整えた時には、すでに執務官ほか一名の第五地区への転送も、准将ほか一名の第八地区への転送も終了していました。
また、現地の通信担当者たちが揃って、『彼女らは、ほんの2〜3刻でまた艦に戻るそうだ』と知らせて来たので、その輸送船は取り急ぎ、今回は少しばかり量の多い第五地区への貨物投下を先に終えると、より東方の第八地区は後回しにして、まずは同じ北部州の西方にある第二地区の上空へと移動します。
そして、輸送船がそのまま中央大陸の上空を左回りに一巡して、貨物の投下をすべて終え、最後にまた第五地区の上空に戻って来た頃には、〈スキドブラドニール〉はとうに惑星周回軌道を離れ、今しも新航路に突入しようとしていたのでした。
なお、その輸送船が最初に「第五地区への貨物投下」の準備を進めていた時、その現場では、何人かの作業員たちがこんな会話をしていました。
「おいおい。何やら、いきなりスゴい質量のコンテナが来たぞ」
「最初の三つは、受取人が同じのようだが……ここまで重たいのは、先頭のヤツだけか」
「中身は何だよ? まさか、丸ごと水が詰まってんじゃねぇだろうな」
「宛先は、第五地区。受取人は、古代遺物管理部・捜査四課・第二独立分隊の分隊長、コロナ・T・メルドラージャ中級一等技官です。中身は、三つとも『特殊大型車両』と書いてあるだけですが……これって、ホントに中身は調べなくても良いんですか?」
「中級一等技官ってことは、准尉待遇だろ? ギリギリだが、一応は士官様だ。下手にイジって、後からクレームが来たら、どうすんだよ」
「流せ、流せ。こちとら、船長からも急かされてんだ。もし後から何かがあっても、取りあえず俺たちの責任じゃねぇよ」
「まあ、この給料では、必要以上の仕事をわざわざ背負い込むほどの義理は無ぇわなあ。(苦笑)」
優秀な作業員たちは、そんな無駄口を叩きながらも、全くマニュアルどおりの正確な作業手順でそれらのコンテナに次々と「飛行ユニット」を取り付け、順番にカタパルトの側へと送り込んで行きます。
こうして、数十分後、それらの大荷物は無事に、第五地区に届けられたのでした。
当然の話ですが、いくら「監視の密命」を帯びてはいても、公式には、一般の輸送船に「新航路に入る許可」など下りたりはしません。
結局のところ、その輸送船は、〈スキドブラドニール〉が悠然と新航路に突入してゆくのを、黙って見送ることしかできませんでした。
船長は早速、両地区の内通者らに秘密の回線で『然るべき情報を速やかに収集し、提供するように』と指示を出しましたが、その収集が終わるまでには、まだだいぶ時間がかかりそうです。
輸送船は、それを待つ間に再び第五地
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