暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
 【第3節】古代ベルカに関するエドガーの講義。
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「以前、『腹違いの王子らが(あい)争って国が滅びた』とかいう古代ベルカの話を聞いたことがあるんですけど、当時の王族って、フツーに一夫多妻制だったんですか?」
「いいえ。古代ベルカの王族における結婚制度は、一夫多妻制ではなく、あくまでも一夫一妻多妾制です」
《ええ? 何、それ……。》
 女性陣の困惑の表情を見て、エドガーはさらにこう説明を続けました。

「個々の用語の意味を学問的に正しく定義するならば、一夫多妻制とは『複数の妻たちが、相続などに関して互いに対等の権利を持っている制度』のことです。しかし、古代ベルカでは、王妃以外の女性は、たとえ個人的には王からどれほどの寵愛(ちょうあい)を受けていたとしても、法的には決して王妃と対等の権利など認められず、王妃ただ一人が格別の諸権利を保持していました。そうした制度のことを、学問的には一夫一妻多妾制と言います。つまり、『妻と妾の間には、法的に明瞭な格差がある』という制度です。
 何故そのような制度が必要だったのかと言えば、一国の王たる人物には是が非でも子供をもうけてもらわねばならなかったからです。子供の一人もいないまま、国王が死んだりしたら、傍系の王族たちの間ですぐに王位継承の争いが起きてしまいますからね。
 そのため、古代ベルカでは……もちろん、原則は一夫一妻なのですが……一般に、王妃が三年以上も子宝に恵まれなかった場合に限り、王は妾を取る決まりになっていました。現代では誤解している人たちも大勢いるようですが、これは『個人として、妾を取る権利があった』のではなく、『国家のために、妾を取る義務があった』のです」
《ええ……。》
 女性陣はさらなる困惑の表情を浮かべました。その感性は、「ロマンス至上主義」の現代人からはあまりにも遠くかけ離れていたからです。

「もちろん、『王の妾に子供が生まれた後で、王妃にも子供が生まれてしまう』といった事例は幾らでもありましたから、王位の継承順位に関しては、大半の王国に明文規定がありました。原則は、『第一に、男子が優先。第二に、妃の生んだ子供が優先。第三に、年長者が優先』といったところでしょうか。
 ただし、こうした原則には、いろいろと例外もありました。例えば、能力や人格に何かしら『見過ごせないほどの問題点』があれば、たとえ王妃の長子でも、後から廃嫡(はいちゃく)されることもありましたし、また逆に、妾の子供があからさまに有能であれば、『王妃が早い段階でその子を養子に迎え、自分の息子の「兄」として公式に認めてしまう』ということもあったそうです」

「ええ……。それって、実の母親として、どうなんですか?」
 マチュレアが、いかにも現代人らしい感想を述べると、エドガーはさらにこう言葉を続けました。
「理念として言えば、どの王国でも最初から、『自分の子孫の繁
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