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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
 【第3節】古代ベルカに関するエドガーの講義。
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るほどの価値がある』と認めた内容の著作物に限定されているのです」

 エドガーは、前から誰かに言いたかったことをひととおり言い終えると、不意にまたいつもの表情に戻り、そっと本をたたんで講義を再開しました。いつしか、口調も元どおりの冷静なものとなっています。
「では、そろそろ本題に戻りましょうか。……さて、一口に『古代ベルカの文化』と言っても、元々は別個の大陸だったため、後世においても四つの州ではそれぞれ少しずつ文化のあり方が異なっていたのですが……第一次調査隊が取得したデータを見る限り、〈新世界ローゼン〉はおおよそ東部州の文化を継承しているようです。
 具体的に言うと……あくまでも『他の州と比較して』の話ですが……相対的に身分の流動性が高く、貴族と平民の間に横たわる『生活水準の格差』もそれほど莫大(ばくだい)なものでは無く、庶民も決して日常的に(しいた)げられ続けていた訳では無い、という文化ですね。私たち現代人にとっては、比較的なじみやすい文化であると言って良いでしょう。
 もう少し解りやすく言うと……時代はかなり異なりますが……基本的には、一昨年に公開された映画『クラウスとオリヴィエの物語』で描写されていたような感じの文化です。
 あの映画における諸々(もろもろ)の描写は、歴史学者たちの目から見ても、『身分制度の(もと)での人間関係から、登場する小物に至るまで』相当に正確だったという話ですが……。ところで、皆さん。あの映画はもう御覧になりましたか?」
 試しに、エドガーがそっと右手を()げてみせると、ザフィーラも含めて全員が同じように右手を挙げました。

 ゼルフィ「私の兄夫婦もあの映画の大ファンで、昨年の春に男の子が生まれると、迷わずその子のミドルネームをクラウスにしました。(苦笑)」
 ガルーチャス《何という俗物!(笑)》
 ノーラ《う〜ん、同族嫌悪かな?(笑)》
 ガルーチャス《なんだと、この……。(怒)》
 ディナウド《やめなよ、二人とも。(嘆息)》
(上記の4行は「グループ念話」であり、他の陸士たちには全く聞こえていません。)
 ジョスカナルザード「そうやって流行に乗った夫婦も、ミッド全体では何十万組もいたらしいねえ。(笑)」
 ゼルフィ「まあ、ファーストネームの方をクラウスにしなかった(ぶん)だけ、ウチの兄貴らはまだマシなんだと思ってやってください。(苦笑)」

 こうした(音声上の)会話に、エドガーも思わず表情を崩しました。
「しかし、『他の州の文化よりはマシだ』というだけのことで、ローゼンの社会が中世風の厳格な身分制社会であること自体には変わりがありません。新世界では、皆さんもどうかそのつもりで、現地の貴族との応対などには充分に気を付けてくださいね」

 その後も、エドガーは、まずは一般論
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