【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第2節】ベルカ地上にて。フランツとの会話。
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ところによると、彼女は昔、IMCSで随分と変わった戦い方をしていたらしいよ。確か……ゴーレムがどうとか言っていたかな?」
「それは! コロナ・ティミル・メルドラージャ中級一等技官ですか?」
「うむ、そうだ。確か、そういう名前だったよ。……やはり、知り合いなのかね?」
「ええ。彼女は、以前にお話ししたジャニスさんの親友でもあります」
「ジャニス? ……ああ! 確か、スラディオ卿の奥方だったかな?」
「はい。そうです」
当然のことながら、一般世間では「サラサール家の第二分家の当主」であるスラディオの方が、コロナやジャニスやミウラやヴィクトーリアなどよりも遥かに知名度の高い人物なのです。
「でも、何故、技官の方が三人だけでこちらの地区にいらしたのでしょうか?」
コニィの質問に、フランツはまた小さく首を傾げながら、こう答えました。
「例によって、これもまた詳しい事情はよく解らないのだが……どうやら、この一帯で何かを調べていて、移動手段が壊れてしまったらしくてね。〈本局〉に注文した特殊車両が届くまでの間、しばらく滞在させてほしいとかいう話だったよ。管理局の輸送船も、転送しづらい大型の荷物となると、ちゃんとした滑走路のある場所にしか届けてくれないからね。それで、こちらに滞在しているのだろう。
ああ。そう言えば……予定どおりであれば、の話だが……その輸送船は今夜のうちにベルカに着くから、明朝には三人でここを発つようなことを言っていたよ」
実際には、その輸送船は〈スキドブラドニール〉を追って、この時点ですでにベルカの上空にまで来ていたのですが、当然ながら、フランツはまだそうした事情を知りません。
「彼女らの仮宿舎も、この近くだ。呼び出せば、すぐに来てくれるんじゃないかと思うんだが……せっかくだから、少し会って行くかね?」
フランツは姪への「特別なサービス」のつもりでそう言ったのですが、ヴィクトーリアはその申し出をやんわりと辞退しました。
「いいえ、伯父様。それには及びません。久しぶりに会うのに、これほど慌ただしい状況では、かえって失礼でしょうし……。それに、彼女もきっと、今はなるべく仕事に集中していたい状況だろうと思います。お互いに時間が空けば、またいつでも自由に会える間柄なのですから、ここで徒に彼女の集中力を削ぐようなコトをしても、かえって疎まれてしまいかねません」
「しかし、これほど近くにまで来ていながら、一言の挨拶もせずにいては、友人として無作法だと思われたりはしないだろうか?」
フランツの発想は、基本的に上流階級の発想です。
「私も、それは少し考えましたが……実のところ、『第二次調査隊の艦(
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