【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第2節】ベルカ地上にて。フランツとの会話。
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千人余の人々の生活の質を向上させるためにも、純水に空気などを溶かし込んで、マトモな飲み水を作るための大型装置が必要だ』と言い続けているのだがね。管理局の担当者はいつも『他の地区からは、そんな贅沢な要求は一切、出ていません。管理局としても、この第五地区だけを特別あつかいする訳にはいかないんですよ』の一点張りさ。
仕方が無いから、私は『ハロルド君の方から個人的に寄贈された小型の装置を使って、自分用のお茶を淹れるための「マトモな水」だけはかろうじて確保している』という状況なんだよ」
あえて悪く言うならば、それは随分と貴族的な態度でしたが、裏を返せば、このベルカ世界では、何か贅沢をしようと思っても、実際には『美味しいお茶を飲む』という程度のことしかできないのでしょう。
「ところで、エドガーは、今日は一緒ではないのかね? 私はてっきり三人で来るものだとばかり思っていたから、椅子も四脚、用意させたのだが」
伯父にそう問われて、ヴィクトーリアはエドガーの現状についても、ごく簡潔に説明しました。
「なるほど。多芸な人物は大変だねえ。(笑)」
フランツは全く他人事のような口調でそう言ってのけます。
そこで一拍おいて、ヴィクトーリアは、さり気無く「本題」に入りました。
「ところで、伯父様。新設の第八地区というのは、ここからもさほど遠くはない場所だとお聞きしたのですが、一体何を発掘している場所なんですか?」
すると、フランツは慎重に背後を振り向き、本当に誰もいないことを確認してから、軽く身を乗り出し、やや声を落としてこう語り始めます。
「管理局が情報を統制しているから、私にも詳しいことは解らないのだがね。どうやら、先々月のうちに何かとんでもない『大型の』ロストロギアが出土したらしい」
「大型の、ですか?」
「うむ。私も、最初は『何かまとまった地下遺跡でも出土したのだろう』と思っていたのだがね。急遽集められた人員は『どう見ても考古学関連の専門家たちではなかった』という話だ。
今にして思えば、昨年の暮れにも『ロストロギア関連の事件を専門とする上級執務官が、ちょうどあの辺りで何かを探していた』という目撃情報があったからね。その執務官が探していたロストロギアだと考えるのが妥当だろう。どうやら、何か簡単には輸送できないほどの巨大なモノが出て来てしまったらしい」
実際には、フランツ博士のそうした推測は微妙に間違っており、昨年末の段階では、フェイト上級執務官も決して〈ルートメイカー〉の存在を予期した上でそれを探していた訳ではなかったのですが……それでも、その推測は、ヴィクトーリアたちにとっては大変に有益な情報でした。
ヴィクトーリアは何度も小さくうなずいて、納
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