【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第6章】ベルカ世界より、いよいよ新世界へ。
【第1節】艦内生活、二日目の朝の様子。
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ったのも、加害者がそうした実刑を受けて、人格的には「全くの別人」に変貌してしまった事例を、昨年、実際に目の当たりにしたことがあったからなのです。】
「そう思うなら、早くカナタを開放してあげなさい」
「抱き枕としては、ちょうど良いサイズだったんだけどな〜」
ノーラはいかにも名残り惜しげにそう言うと、少し姿勢を変えて体の下から器用にタオルケットを引き抜き、それを引き剥がしてカナタを開放しました。
カナタは半ば転げ落ちるようにして床に降りると、そのまま自分のベッドに跳び込み、そこに座り込んでようやく安堵の息をつきます。
「ごめんね、カナタ。眠ったままでやったことだから、できればノーラのこと、怒らないであげて」
「いや。まあ……ボクの方から上がり込んだって話だから、別に怒る筋合いは無いんだけどサ」
ゼルフィが苦笑まじりに声をかけると、カナタもいささか諦め顔でそう応えました。ノーラもその場で胡坐をかき、両掌をピタリと合わせて頭を下げ、形式どおりに謝罪の言葉を述べます。
そこで、今度はツバサがふとノーラに問いました。
「ところで、ノーラさん。バールゥというのは、誰なんですか?」
「あ〜、ごめんね〜。昔、家で飼ってた大型犬の名前なのよ〜。わたしよりも一つ年上だったから、もう何年も前に寿命で死んじゃったんだけどね〜」
「あああ。それは、何と言うか……御愁傷様でした」
「うん。実は、わたしが初等科に上がる前、いろいろと『家庭の事情』があってね〜。父さんも母さんも、わたしの面倒まで見ている余裕が無かったから、わたしは3歳の夏から6歳の秋まで、ほとんどバールゥに育ててもらったも同然だったんだ〜。そのせいか、今でも時々、夢に見ちゃうんだけどね〜」
「そういう夢を見ていたのなら、何か手近なモノを間違えて抱きしめてしまうのも無理はありませんねえ」
《いや。まあ……それは、そうかも知れないけどサ……。》
ツバサの言葉に、カナタも不承不承、先程の状況を許容した(?)ようです。
そんな会話をしているうちに、もうすっかり目が覚めてしまったので、四人は仕方なく、このまま起床することにしました。
さて、カナタとツバサは地球にいた頃から起床後にはまず一杯の白湯を飲むことが習慣になっており、昨日のうちにエドガーにもそう頼んでおいたので、談話室の方には昨夜の白湯がまだ残されているはずです。
双子は手早くパジャマから普段着に着替えると、一足先に談話室に向かいました。
(ゼルフィとノーラは、一応は「年頃の娘」なので、もう少し「身だしなみ」に時間がかかるのです。)
まだだいぶ早い時間だと思っていたのですが、談話
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