遭遇する姉
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される低い声。
でも、それを吹き飛ばすように後ろから大きい濁声が響き渡った。
「おぅい!やっと見つけたぞごるぁ!てめぇ、逃げられると思うなよォ!」
あたしは一転してひっと肩を竦めた。
ひゃー見えないけど、まさか、あの石飴屋のおじさん!?こんなところまで、あたしを追ってきたのー!?しかも言葉遣い格段に悪くなってるし!しつこい男は嫌われるわよー!
「あんたのせいよ!どうにかして!」
男は舌打ちすると、あたしを放りだしてなんと薄情にもそのまま背を向けて行こうとする。
あたしは即座に男のマントに飛びついた。
「どこいくの!」
「おい何やってるんだ。離せ。死にたいのか」
「そもそもあんたのせいなんだから、どうにかしてよ!」
「わかってる。だから、離せと言ってる!」
「わかってない!離したらあんたひとりで逃げるでしょー!逃げるなら、あいつら倒すか、あたしも連れて行きなさい!」
「この…っ」
男の腕が伸びてきたから、てっきり殴られるのかと思ったら、襟首をつかまれてあたしは俵担ぎにされた。
お?
「舌を噛むなよ」
聞き返そうと思ったら、男がすごい速さで走り出した。間に合わず、ガキン!と上の歯と下の歯がぶつかった。間に舌というクッションを挟んで。
血、出た、血!
あんたね、そういうことは、もっとはやくいいなさーい!
文句を喋ることも出来ず、あたしは涙目で口を押さえながら、せめてもの反抗に男の背をばしばし叩いてやった。
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