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あいらぶらざー!
遭遇する姉
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ないんだよ。また来月おいで」



「そんな!」



 あたしは絶望でふらふらと座り込んだ。桃は買えない、体は石飴まみれ、こんなんじゃノエルに合わす顔がない…。



 あたしはおばさんにとりすがった。



「うちには風邪で桃を待っている子がいるんです!どうにかなりませんか!?」



「え。あ、ああ、それじゃあさっき買っていったダンナに譲って貰ったらどうだい?6個も買っていったから、一人で食べるには多すぎるし、事情を伝えたらもしかしたら譲って貰えるかもしれないよ」



「その容疑者(ホシ)はどこへ!?」



「向こうだよ…ああ、まだ見えるね。あの灰色のマントを着たダンナだ」



「おばさんありがとう!」



 あたしはおばさんが指さした先、小さく見える背中を追って駆けだした。



「まっ、まって…」



 人をすり抜け、ぜいぜい言いながらあたしはダンナに追いついた。



 そうだ声。低く、低く…。



「ねぇあなた待って!ちょっとお願いがあるんです!」



 自分のことだと気がつかないのか、ダンナは歩みを止めない。



「あの、あそこの角で桃、おばさんから桃を買いましたよね?その桃、ひとつでいいので譲ってもらえませんか!?」



 あたしはダンナに回り込んで、正面から両手を組み合わせて見上げた。



 そのときはっと息を呑んだ。この人、黒髪だ。夜を閉じ込めたようなとても綺麗な漆黒…。鷹の目のような瞳が、あたしを映して驚いたように開かれる。その色も、深い深い射干玉(ぬばたま)!髪が黒いのは、珍しいことじゃない。瞳が黒いのも、珍しいことじゃない。でも、髪も瞳も同じ色なのは、珍しい。瞳も髪も黒いのは、カルミナ族だ…、なんて、ぼんやりしてる場合じゃない!こいつ!



 あたしは憎しみも新たにそいつの腰に下がるワインレッドの棒を睨み付けた。



 こいつっ!



 あたしは桃もノエルも頭からすっ飛んで、目の前のロクデナシの脛を怒りにまかせて蹴り上げた。



「おい」



「いっ!」



 ぐっと大きい手のひらが伸びてきて、一瞬であたしの視界は覆われた。ぎりぎりと太い指に力を入れられる。



 あ、まずいこの人、それなりに強い。



 あたしも我ながら結構強いけど、この人もなかなか…。



「なんのつもりだ…?」



「自業自得、だ、よ!その棒でイキナリあたしを吹き飛ばしておいて!」



 あたしは急所を押さえられながらもばたばたと暴れた。



「棒…?」



 怒ったように落と
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