第56話
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ねぇし、上には上があるもんだよなァ?」
フェリが初めて乗るリムジンにはしゃいでいる中アーロンはヴァンに対する皮肉を口にした。
「フン、PU(ピックアップ)とこの手の高級車じゃ足回りの思想がそもそもだなぁ…………」
対するヴァンは対抗するかのように反論していた。
「フフ、そういえば”例のパーツ”は気に入ってくれたかな?君の愛車のデザインを損なわないよう特注させてもらったんだが。」
ヴァンが愛車の話を始めるとあることを思い出したシェリド公太子がヴァンに訊ねた。
「あー、それについては感謝してますよ。微妙に透けて見えた”意図”は気のせいじゃなかったみたいですが。」
「?でも殿下もナージェさんもお元気そうで本当に良かったです。」
ヴァンのシェリド公太子への指摘の意味がわからないアニエスは首を傾げたが気にせず話を続けた。
「ええ…………その節は本当にご迷惑をおかけしました。」
「いや、私達もこれほど早く再会できるとは思っていなかった。ちょうど”総督へのご挨拶”が重なったのも都合が良かったかな。」
「え――――」
「あ…………”ぐらむはーと”っていう!」
「ハン…………ニュースでも見なかったしいわゆる”密議”ってヤツか?」
「それについては君達には関係のない話だ、気にしなくていい。」
シェリド公太子の話を聞いたアニエスが呆けている中フェリは興味ありげな様子で声を上げ、鼻を鳴らして呟いたアーロンの推測をキンケイドは誤魔化した。
「…………ま、このご時世だし色々あんだろう。”別件”には遠慮なく関わらせるつもりなのは気に食わねぇが。」
「…………別件、ですか。」
「…………なるほど、何となく話が見えてきましたね。」
ヴァンのキンケイドへの皮肉を聞いたフェリは表情を引き締め、リゼットは納得した様子で呟いた。
「この場を設けたのは他でもない――――――君達に新たな”依頼”をしたいんだ。エルザイムとGIDの”共同依頼”という形でね。」
「…………共同依頼。」
「…………聞くだけ聞きましょうか。」
シェリド公太子が口にした意味ありげな言葉にアニエスが目を丸くしている中ヴァンは続きを促した。
「単刀直入に言えば、出張に行ってもらいたいのだよ。カルバード南西にしてメンフィル帝国領南カルバード総督府のお膝元でもあるバーゼル市――――――かの『ヴェルヌ社』の本拠地にね。」
「ヴェルヌ――――――両カルバード州の巨大メーカーの…………」
「ハン…………?なかなか思わせぶりじゃねーか。」
「こちらをご覧ください。」
ナージェがリムジンについているある装置を動かすとヴァン達の前にスクリーンが現れ、いくつかの写真が
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