第56話
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はい…………実は前に事務所にも来た友人や先輩がバーゼル行きを検討してまして。私も興味があったので、どうしようかと迷っていたところだったんです。」
「来週木曜からの3日間の研修…………タイミング的に一致していますね。」
「えへへ…………なんだか翼の女神の導きを感じますっ。」
「しかもあの生徒会長のメンフィルの皇女も行くんだったら、もし”南”の総督府に用があった時、あの皇女に口利きしてもらえればいいだろうからな。」
ヴァンが”視察研修”について詳しく知っている口ぶりを不思議に思ったアニエスだったが説明を続け、アニエスの説明を聞いたリゼットは頷き、フェリは嬉しそうな表情を浮かべ、アーロンはある提案をした。
「あ、でもだからといって依頼を引き受ける決め手にはなりませんけど…………!」
「ま、そうだな。学校行事だし、そっちこそ無理に依頼と絡めて決めることもねえだろう。行き先が被ったところで研修って名目なら別行動の可能性も高いだろうしな。」
「そ、それはそうですけど…………それはそれで寂しいと言いますか。」
(鈍感とはまた罪深い男ですね…………)
自分の念押しに頷いた後答えたヴァンの指摘に頷いたアニエスだったがヴァンから目をそらして小声で呟き、その様子を見守っていたメイヴィスレインは呆れた表情で呟いた。
「ん…………?」
「クク、毎度スイーツに釣られるヤツがどのツラ下げてって話だがなぁ。」
「あ、ちなみにバーゼルはどんなお菓子があるんですかっ?」
アニエスの様子が気になったヴァンが首を傾げている中からかいの表情で指摘したアーロンの話を聞いてあることが気になったフェリは興味ありげな様子で訊ねた。
「よくぞ聞いた――――――有名なのは”エンガディーナ”って焼き菓子だ。クルミと蜂蜜のヌガーがぎっしり詰まった素朴だが濃密な味わいのタルトでなぁ…………!」
フェリの疑問を聞いたヴァンが自慢げに説明を始めると、助手達はそれぞれ冷や汗をかいて呆れていた。
「(…………ヴァンさんの言う通りかな。ちゃんと自分で考えて決めないと。そうでないと曾お祖父ちゃんに…………ううん、お父さんにだって――――――)あ…………すみません、心配させちゃいましたか?」
ヴァンがバーゼルのスイーツについての説明を語っている中真剣な表情で考え込んでいたアニエスは自分を見つめているリゼットの視線に気づくと我に返り、リゼットに声をかけた。
「いえ、アニエス様が迷われるのも無理はないかと。行き先が重なった場合はわたくしもフォローしますのでご安心を。」
「(やっぱり敵わないな…………)ありがとうございます、でもどうして――――――」
リゼットの気遣いを知り、リゼットに敵わない事
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